第十三話「ことのいきさつ」
「サタン!お前、前回、含みを持たせて消えたのは、陽子の親友、華江に取り憑く事を、最初から決めていたからか。」
善太郎は、サタンの実像を初めて、その目にした。ツノが二本生えていて、目がまがまがしく光り、それでいて全身がどす黒く、口元には牙も生え、背中に黒い翼を左右に二つ併せ持っていた。
『ご名答。と、言いたい所だが、あの時はまだ核心が無かった。しかし、前に憑いていた心優しき、川上陽子がいわゆる“真人間”になったことで陽子のまわりの状況も大分変わっていった。そして、その結果、陽子とその親友である華江の距離感が徐々にでき始めるであろうことを我は予測していた。それでいて儀式の途中で華江が陽子の電話に出た事が決定打となっていたのも事実。“必ず憑ける”とな。そして、陽子から切り離された華江がどんどん陽子への憎しみを倍増させていくように仕向けたのも我じゃ。ダークサイドに落ちた人間程、取り憑き安いからな…。』
善太郎は臨戦体制に入った、が最後に確かめておきたいことがあるようで、
「デウスはどうした!?今は眠っていると聞いたが、華江へのお前の悪だくみには真っ向から反対したハズだぞ!?前回も陽子に対して『こんな幼い少女に巣食うの酷じゃ』、とか、何とか言ってたからなッ!」
サタンはせせら笑いを浮かべ—
『あいつか?デウスは確かにお前らの言うところの“良心”の持ち主じゃ!だが、仮に華江を脅かすのでは無く、華江を救う、という大義名分で我が活動している、と信じ込ませれば、どうなる!?全ては我の思うがままじゃ。ハハハ。デウスはこんな我の言うことにも一応、道理が通っていれば、すぐに信じるお人好しじゃからなッ。ワハハ。』
善太郎は怒りの形相になって—
「汚ねぇヤロウだ。だが、お前の悪だくみ、しかと俺が制御する。いや、“悪”であるお前だけを焼き払って、“善”であるデウスだけを残してやるッ!!」
『お前、』
「ん!!?」
『デウスと我が、一心同体である事を忘れたのか?どちらかを殺せば、どちらも複合体であるが故に消滅する。お前の言うような、そんな都合の良い現象は起こり得ない。わかるか?お前には悪魔はもちろん、善良なる“神”をも殺す覚悟が必要なのだよ。』
「お前とデウスがこの世からいなくなったら、どうなる?」
デウスは高笑いを始めた。
『ワハハハハ!それこそ、神のみぞ、いや、天のみぞ知ることとなろうな。我には分からん。だが、デウスなら知ってるかも知れん。まあ、今現在、この状況で我を叩きのめし、デウスの正気を取り戻せたら、の話しじゃがな。ワハハハハ。』
善太郎は意を決したように——
「理屈は分かった!あとは貴様を退治、または引っ込ませるだけだ!!」
こうして、三笠善太郎は家宝である木刀、青龍刀を引っ提げ、サタンと対峙するのであった—




