小説に「防御貫通」の属性を付与したい。
基本的に読者は、ガードをしながら近づいてくる。
この作品は面白いのか?
この俺様が、時間をかけてまで読むに値するのか?
誰だって、時間を無駄に使いたくはない。
興味のない作品を、面白くもない作品を読み続けることには苦痛が伴う。
だけど、習慣になってしまうと抜け出しにくい。
ぐだぐだと、面白くもない作品を、ただ「投稿された」というだけの理由で読み続けてしまう。
そういう習性が、人という種族には備わっている。
だから慎重になるのだ。
縁を切るタイミングは、読み始めのこの瞬間にしかない。
これを逃すと、次に来るのは数ヶ月後か、あるいは数年後になるだろう。
そんなわけで作者は、そんな読者のガードをなんとかしてこじ開けなければならない。
一つの方法、それは防御の隙を突くことだ。
相手が下段でガードしているのなら上から。
逆ならばその逆から攻撃を仕掛ける。
攻撃というのはアプローチのことだ。
テンプレ展開に飽きた読者には、奇抜な攻めが効果的だろう。
逆に、奇抜すぎる展開にうんざりした読者ならば、王道展開こそが突き刺さる。
小説を投稿するというのは、一対一のゲームとは違う。
読者が常に、無数の作品から選んでいるように、作者もまた、無数の読者を相手にする。
下段でガードをする人がいれば、上段でガードする人もいる。
あるいはノーガードで歩み寄ってくるやべーやつもいるかも知れないが、それはまあ少数だから。
そう、数の問題なのだ。
そういう意味で、逆張りというのは効果的かも知れない。
今時点で、なろうテンプレが流行っているならば、もしかしたらテンプレ外しが効果的かも知れない。
だけど同時に、実はテンプレこそがガードが緩いという可能性もある。
それを見定める目を持つか、あるいはそれが無理ならば、そんなことは考えるだけ無駄なのかも知れない。
あるいは、己の直感を信じるというのも一つの手法として有効だ。
自分が読みたいと感じる作品を、自家発電する。
自分で読んで楽しいと言うことは、自分と同じ趣味を持つ何人かを引き込めるかも知れない。
まあ、それで寄ってこなかったら、君は少数派だったということだ。そのことを誇りたまえ。しらんけど。
大まかなジャンルという意味では、二択になってくる。
だけど、それが全てというわけではない。
上とか下とかでなく、例えばタイミングをずらしてフェイントをかけるというのも有効かもしれない。
このパターンならば、こう来るだろう。
その錯覚の、裏をかく。
犬や猫や少女や老婆を助けた少年の元にトラックが迫り……そのタイミングで犬やら猫やらが逆に助けに入るとか。
転生するのは猫でした。
少年など、置いてけぼりにすれば良い。
そしてそこから先は、ありきたりな転生ものを書けばいい。
何かをずらせば、大したことでなくても興味を引ける。
すでにガードは貫いた。
ここからは惰性でも、だいたい5話ぐらいまでは読んでもらえることだろう。
そこから先は知らん。
話毎のPVが6話からがた落ちしていたら……要するに、そういうことだ。
文章力で力押ししてガードブレイクしてしまう。という方法もある。
まあそれが出来るなら、小細工に頼ろうともしないだろうし、そもそもこんな駄文に目を通したりもしないだろう。
出来るならやれば良い。
あとは、逆に悪い例を考えてみる。
対戦ゲームにたとえるならば、相手の目の前で無限にステップを踏むような。
近づいては離れ、離れては近づいて。
ゲームの戦略としてはありかもしれないが、永遠にダメージを与えることはない。
相手からの攻撃に備えるカウンター戦術というのもある。
だけどそれは、通用しない。普通のゲームと違うのは、自分と相手で立場が異なること。
読者は、無防備なだけの作者に対して、関わるだけ無駄だと考える。
それはきっと、プログラム通りに防御だけをするCPUと対戦をしているようなものだから。
少なくとも始動だけは、作者側の行動でなくてはならないのかもしれない。
攻めすぎると、読者からカウンターを喰らう可能性がある。
と、考えてしまうのは仕方がない。
攻撃的な感想を書かれたら?
★一つ、★二つ。そういういわゆる低評価をつけられたら?
それが怖いから、無難に済ませようとする。
あるいは様子見として、投稿を見送ったりもする。
でもなんか、それだともったいないじゃ、ないですか。
こんなのは、CPU相手にどれだけハイスコアを出せるかの、ゲームみたいなものだと考えれば良いんです。
相手のガードをいかに崩し、その後どういうコンボにつなげるのか。
ガードを破れずに失敗することもある。
ランダムパターンの思わぬ反撃を受けることもある。
でもその時は、やり直せば良いじゃん。
なんて、思いました。
良い方法を思いついたり、知っていたりした方は、感想欄で教えてください。