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なろうラジオ大賞4

いわくつきのホテルがおふだを隠す気がなさすぎて笑う

掲載日:2022/12/02

 ここはいわくつきのホテル。

 出ると噂なので興味本位で覗いてみることにした。


 まずはエントランス。

 内装はボロボロ。

 掃除もまともにしていないのかほこり臭い。


 受付のオバサンはスマホをいじっている。

 服装はスウェット。

 客をもてなす気ゼロである。


 俺はエントランスを素通りして、問題の部屋へと向かう。

 中へ入ると明らかに空気が違った。


 なんか……とても重いのだ。


 これは期待できそうだと胸を躍らせて部屋を見渡してみる。

 部屋の作り自体は普通だが、やはりいわくつき。

 見た目からして違う。


 お札を貼る場合、絵とかで隠すと言うが……壁に堂々と貼ってあった。

 しかも一枚や二枚ではない。

 あちこちに何枚も貼ってある。


 逆にこれはこれで面白い。

 テーマパークのお化け屋敷みたいなものだろう。


 しかし……明らかに貼りすぎじゃないだろうか?

 湯沸し器にまでくっつけるのはどうかと思う。


 湯沸かし器が原因で誰か死んだのか?

 殺人事件の凶器となったのか、それとも事故で火傷でもして宿泊客が死んだのか。


 試しにトイレに入ってみると、便座の蓋にも貼ってあった。

 誰か便器に顔を突っ込んで溺死したのだろうか?


 だとしたらすごいシュールな光景。

 捜査員たちがどんな顔で現場検証をしたのか見てみたい。


 しかし……肝心の幽霊が全く現れないな。

 これではここへ来た意味がないぞ。


「誰かいませんか? 話をしませんか?」


 語り掛けても反応がない。

 空気が重いだけで気配がしないんだよなぁ……。




 キィ――




 突然、部屋の扉が開いた。

 恰幅のよい中年の男性が入って来る。


「…………」


 男は部屋を見渡しながら、おもむろにスマホを取り出した。

 ぱりゃり、ぱりゃりとシャッターを切る。


 試しにカメラの前へ出てピースサインをしてみたが、反応がない。

 そのまま無言で写真を撮り続けている。


「……さっそくSNSに投稿するかぁ」


 男はそう言ってスマホをいじり始めた。

 俺に気づく気配はない。


 部屋を出てエントランスへと向かう。

 相変わらず受付のオバサンはスマホをいじり続けている。

 彼女も俺には気づかない。


 いわくつきと言うのは嘘で、客を呼び寄せるためのブラフだったらしい。


 幽霊になって3年。

 いまだに同類に出会ったためしがない。

 仲間に会えるかと思って期待していたのだが……ここも空振り。


 そろそろ誰か俺の存在に気付いてくれないだろうか?

 たった一人で世界をさ迷い続けるのは、あまりに寂しい。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お札ベタベタの部屋って怖いものみたさで入ってみたいです。トイレと湯沸かしポットまでってことはきっと、ベッドや鏡台、テレビにもおふだが貼られてますね✨(*´∀`*) 幽霊さん、富士の樹海に行…
[良い点]  これはお見事です! 「叙述トリック」……と呼ぶのでしょうか? 主人公の正体について、自分は見事に騙されてしまいました(笑)。 [一言]  読み返してみると……〝問題の部屋の空気が重かった…
[良い点] な、な、な、なんとぉおおおおおお! 驚愕のラストでした。 なるほど、シックス・センス的な……(古い) 引っくり返されるラストに留まらず、そこに至るまでの御札の貼り付けられ方だったり、それ…
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