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オタクちゃんと悲しみ
「悲しみなんていらないよ」
オタクちゃんは怖がった
「悲しみこそが人生よ」
どっぺるげんがぁが見栄張った
闇と花
夜が本気を出して、とっても真っ暗。
「怖い!」
オタクちゃんは叫ぶ。
「大丈夫!」
どっぺるげんがぁが励ます。
二人で地面に仰向けになる。
夜に咲く火の花。とっても鮮やか。
「綺麗!」
オタクちゃんは叫ぶ。
「でしょ!」
どっぺるげんがぁが喜ぶ。
二人で原っぱに寝そべり、のんびり眺める。
ブラックとオタクちゃん
オタクちゃんは朝にコーヒーを飲んでみる。もちろんブラック。ごくり。
「どぶ、だ!」
暑さと氷
暑いとき、オタクちゃんは氷のことを考える。ヒンヤリしていて、いいね、って思うから。でも、氷って、暑いと溶けちゃうよね、ってどっぺるげんがぁが聞く。オタクちゃんは言った。風になって、街を散歩するから大丈夫!
オタクちゃんと夏
日々を浸すような
霧雨が降る森
溺れる境内
ぶら下がる昨日
栞を挟む少女
終わりなき螺旋
ぐらぐらと揺れる世界
ララバイ 夏
汗と凹み
オタクちゃんは汗っかき。ぽたぽたと体を伝って落ちる。砂の上、アスファルト、土くれ、ひじの内側、エトセトラ、エトセトラ……。
「白いTシャツの生地が一番しっくり来た」
汗は語る。
「いつか、クレーターの凹みでくつろいでみたいなぁ」
汗は夢を見る。