迎えた仔牛に願いを込めて。
雪降る夜に迎えたお前、
光り輝くあのお方が、私に与えられたお前。
そう、震えるでないよ。
とって食いはしないから。
ああ、思い出すねえ?去年の今頃を。
お前の前に頂いた仔を。
今のお前より小さく、
震えていたあの子を………
おや?興味があるのかい?
お前の前にここに居た仔のことが………
では、この老いぼれの思い出語りにつき追うておくれ?
あまり良い話ではないがの?
小さく震えるあの仔を今でも覚えておる。
尊きお方から頂いた大切な仔。
頼りなく震えてたあの仔。
その身に悲しみを宿していた仔………
愚かな私は気づかなんだ。
その悲しみの大きさに。
それを必死に隠そうとしたあの仔に。
あの頃、気付ければ………何か変わっておったかのう?
最初は風邪だと思ってたんじゃ。
すぐに治る、他愛ないものと。
じゃがいつまでたっても治らんかった。
尊きお方に聞いても悲しい顔をするだけで、何も教えてくれん。
衰弱するあの仔を看てる日々。
ああ、変われたらと思う日々。
寝ずに看病する日々。
何度、尊きお方に助けを乞うたか………
今はもういないあの仔。
最後まで私に恨み言を言わなんだ。
尊きお方に引き取られし時、
一つの約束をくれたんだよ。
なあ?新たな仔よ。
いまだ震える幼い仔よ。
病に侵されし仔よ。
懸命に生きようと足搔く仔よ。
共に戦おうぞ。
今、世界に存在するすべての物と共に。
手を取り、知識を合わせ、
その病魔を消そうぞ。
あの仔は私に約束を残した。
おぬしは貪欲に生きようと足搔く。
いと尊きお方は見守るだけだが、
私は動くことができる。
私は絆。
私は希望。
私は癒し。
私は………主らと供に足搔くモノ。