こんな人はどうしたらいいの?
新橋の夕方は食欲をそそる匂いが充満している。
焼き鳥を焼く醤油の焦げた匂いや、イタリアンのニンニクの香りetc・・
女性なら食欲に繋がる連想も、ジジイになると冷えたビールや酒に繋がる。
仕事を終えて、気分転換に一杯やりたいと考えるサラリーマンで、街は賑わいを見せている。
兄弟と待ち合わせをしている鶏料理の専門店が見えてきた。暖簾をくぐると威勢よく声がかかった。
「あっ!どうも!いらっしゃいませ!」「いつもの個室へご案内して!」と、続けてカウンターの中から店長がホール係に声をかけてくる。
奥の個室に通されると兄弟はもう来ていた。
「あっ!早いね!会長さんを待たせては失礼だな!」と冗談を言うと、「心にもないくせによく言うよ!」
と、口元に笑みを作り迎えてくれた。
暫くは、お互いの近況報告を兼ねた四方山話を続けていたが、一頻り話し終えたタイミングで
「それで、相談てのは何かな?」兄弟が訊いてきた。
「うん!実話さぁ~、どういう訳か首相と桜を見る会の案内状が会社に届いてさ!」
「おーっ!良い話じゃないか」
「いやいや、よく考えてみろよ!三年前の仕事のことがあるじゃないか!?」
「三年前?」と兄弟。
「君の知り合いの依頼を受けたことを忘れたのか?」
「えっ!何だっけ?」