新たな役割
「ダンナ、お願いしたいことがある」
弥吉が神妙な面持ちでいった。
「ダンナの腕を見込んで言うが、村にとどまってはくれねぇか」
「構わんが俺に何を求める」
「ここ最近もののけやならず者共が増えてきて被害も出ている。村の用心棒がいると助かるんだが・・・」
用心棒、村人の護衛か。
地盤固めには悪くないな。
まだ急ぐこともあるまい。
「あいわかった。しばらく村に身を寄せよう。この俺が守る限りは安全だとおもってよい」
「やったぜ太助!三郎!」
弥吉は大喜びだ。
そう言えばあれから僅か4日で三郎は完全に回復した。
あんなに膿んでいた傷口も痕をのこすだけで完治しているようだ。あの薬は凄いな。
「鉄山様が居てくれれば百人力ですぜ、もちろん報酬はだします」
「よいよい、着るもの、食い物、住むところさえあれば俺は満足よ」
どうせスキルの研究に時間が掛かるだろうしな。ゆるりといこう。
「いやさすがにタダ働きは申し訳ないだろ、ダンナ」
うーむ意外と義理堅いのか?
「では俺の仕事に応じて食い物を対価としてくれ。それを消費しながら生活しよう。これで対等だろう?」
「そうだなじゃあそうすることにするよ!」
何も変わっていないのではと感じる太助を横に、弥吉は元気よく答えた。
「ではさっそく明日から畑を見てまわることにしよう」
この地域もついでに調査していくか。百聞は一見にしかず。世界の情勢を見極めてやろう。