表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

授業

 今日は授業の内容でも紹介したいと思う。

何てことの無い僕らの日常です。


 今日の1時間目は国語

担任の沖村おきむら 砂波さなみ先生の授業です。

沖村先生は国語だけでは無く社会、数学、理科、英語の主要5教科の他音楽、家庭科も教えます。

まるでスーパー教師です。

体育以外は全部教える能力を持っています。

体育はと言うと奇跡の運動音痴です。

僕らは奇跡のドジっ娘と呼んでいます。


 でも、1時間目の国語は普通の国語ではありません。

女性国語と言いますか、学校では教えない国語です。

内容は女性文学を通して女性の考え方やしゃべり方を身につけるというもの。

常日頃先生は

「私はこの授業を通じて女性の素晴らしさを教えたい。

みんなに女性の考え方を身につけて欲しい。

少なくとも脳内で女言葉で語れるようね思考を持って欲しいのです」

と熱弁している。

題材は「赤毛のアン」「小公女」「若草物語」など昔から親しまれている少女文学。

たまにディベートという形のおしゃべり。

このときは一切の男言葉は禁止。

徹頭徹尾女の子の考え方や言葉遣いを身につける授業です。

ていうか、寮に帰ったら帰ったで委員長に少女マンガを無理矢理読まされる。

僕にとっては地獄の日々です。


 2時間目は理科、物理です。

一応この学校は進学校。

基礎教科もかなりのレベルです。

僕はちょっと苦手な分野です。


 3時間目と4時間目は日本舞踊。

僕たちは着物に着替えます。

着物は一応学校に備え付けのものを着ています。

早くしないとカワイイものは無くなってしまうのでクラスの女子たちは撮るのも必死です。

僕は特にこだわりが無いのでゆっくりしてますが。


 着物を着るのにも一苦労です。

何せ僕は着物を今まで着たことが無い。

男時代も含めてですが。

しかも女物。

僕は委員長に手伝ってもらって着物を着ています。

着物は原則下着NGです。

みんな着付けは僕と違ってお手の物。

1人で着れます。

慣れたもんです。

でもまりなちゃんは違う。

必ずすっぽんぽんになるのです。

僕は目のやり場に非常に困ります。

委員長も散々注意しています。

その度にまりなちゃんは

「いいじゃね〜か、別に減るもんじゃなし。

大体、みんな同じモンが付いているんだぜ。

女同士じゃね〜か。

これが男の前だったら恥ずかしがるけど。

心が男でも女同士なんだから俺の裸ぐらいで動揺するなよ。

俺は別に女の裸見たって別になんとも思わないから」

と意に介しません。

本当に困った人です。


 日舞ももちろん担任の先生。

担任は

「この授業では女の子の仕草を習います。

みんなは言葉はあれだけど女の子になったつもりでこの授業を受けて下さい。

男臭い仕草を直す授業と思って下さい。

少しでもそれを感じ取るような仕草をしたら私は徹底的に治します。

みなさんは女らしい仕草を身につけて下さい」

と檄を飛ばします。

僕はまだなったばかりなのでかなりしごかれます。

正直疲れるのです。


 この授業が終わったら給食です。

このとき、いつものメンバーで集まってお弁当を食べます。

メンバーは委員長と僕の彼女であるまゆちゃん、まりなちゃんとなみねちゃんのの5人です。

みんなでガヤガヤとおしゃべりしながらしゃべります。

きょうはまりなちゃんが

「今日、ゆきは(僕)をじっと見てて気づいたんだけどブラデビューしたんだ。

おめでとう」

と僕に話しかけてきた。

僕は

「ありがとう。

でもなかなか慣れなくて。

まだ女装している感じがするんだ。

女の子の下着はこそばゆくて」

と答えた。

まゆちゃんは

「でも心まで女の子にならないでね。

私はあなたの言い方があれだけど中途半端なところが好きなんだからね。

心までそうなったら絶対に別れるから」

と釘を刺してきた。

委員長は

「良いじゃない、それでも。

彼女が頑張っているんだから。

私は完全な百合になっても2人を応援するわ」

と言ってきた。

僕はここで気になっていることを聞いた。

みんなの恋愛対象は男性か女性かを。

まりなちゃんとなみねちゃんは即答で男性と答えた。

この2人はなんとなく普段の言動からからそんな気がしていた。

意外なのは委員長だった。

「私は二次元までだったら男性なの。

お姫様にも憧れるわ。

でも三次元だとやっぱり女性。

それもかわいい娘が好きよ。

だから百合は大好物なの。

際どいのはもっとね」

委員長の恋愛対象が女性なのは意外だった。


 給食が終わると5時間目。

今度はちゃんとした国語。

清少納言の枕草子をじっくりと習った。

担任が一番好きな古典と言うことで一年かけて習うことになる。


 6時間目は数学。

かなりレベルの高い方程式を習った。

ところで3次方程式の解の公式って高校範囲の内容だろうか。

今日は授業の逸脱が目立つ。

ていうか、3次方程式の解の公式が半端なく難しすぎる。僕は今日の数学の授業は半分も理解が出来なかった。


 授業が終わり僕は寮に帰る。

今日は同室の委員長は委員長の仕事で帰ってくるのが遅い。

僕の学校の委員長は特殊な学校のためやることが多いのだ。

もちろん、僕はいつもの女の子になるための訓練をしなければならない。

委員長は厳しいのだ。

でも、今日僕はサボります。

委員長に見つからないように隠してあった少年マンガを読みふけります。

委員長が帰ってくるまで。

スカート姿で読む少年マンガは背徳感があってスリルもあります。

でもこのときだけ僕は男に戻ります。

僕の精神安定剤なのです。

委員長が帰ってくるまでの天国の時間を僕は存分に味わいたいと思っています。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=144158326&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ