合同授業
今日は合同授業の日だ。
僕たちはいつもの校舎を飛び出しお嬢様学校の校舎にいます。
僕たちの学校では2ヶ月に1回、本物のお嬢様と合同授業をする。
本物の女子とふれあって女子の本質を学ぶのだそうだ。
前日が大変だった。
担任の沖村先生が妙に張り切っていて
「あなたたちは本物の女子にふれあう機会が少ないわ。
良い、この際だからよく吸収してきなさい。
そして本物を越える女子になって帰ってきて下さい」
と発破をかけていた。
まだ担任の張り切りはカワイイもので寮に帰ると同室の井瀬木さんはもっと酷かった。
「あなたは女子になって2ヶ月も経っていない。
だからあなたには女子の素養が足りないの。
そこで私は今少女マンガで売れているものを全巻揃えてきたわ。
DVDも含めてね。
今日は寝れないと覚悟してね。
徹夜で女子が何たるかを教えるから」
おかげで今日は寝不足です。
そのせいで目の隈を化粧で隠しての登校。
(委員長にしてもらいました)
校則違反だけどこの程度なら見逃してくれるとのこと。
それに委員長曰く女子力が上がるとも行っていた。
僕も初めての化粧にちょっとドキドキしています。
1限目のホームルーム、僕たちの自己紹介です。
みんな手慣れたものでかなり上手いと思う。
ちなみに全員が同じくラスに行くのではなく僕の行くクラスでは委員長の井瀬木さん、クラスメイトの九之坪さん、そして二子さんの僕を含めての4人だ。
みんなの自己紹介が終わり僕の番が来た。
「私の名前は鹿田 雪羽と言いますの。
まだ、女の子になって1ヶ月とちょっとですの。
今日はよろしくお願いしますの、わ」
教室中、失笑が漏れた。
僕だっておかしいのは分かる。
しかし、この校舎にいる時は男言葉は禁止だ。
全部女言葉でしゃべらなければならない。
女言葉なんて普段しゃべらないから違和感しか残らない。
そこのクラスの担任の先生は思わず
「鹿田さん(僕)、無理してしゃべらなくて良いから。
普段のあなたのしゃべり方で良いから」
と笑いながら注意してくれた。
確かに九之坪さんは普段の俺言葉で注意されなかった。
僕もそこまで気負いすることはないと思った。
そして1限目が終わり、放課(休み時間)の時間、僕はクラスの女子からの質問攻めに遭うことになった。
僕以外のメンバーは経験済みのようで委員長(井瀬木さん)からは呆れ気味に
「女子になった洗礼だから諦めなさい」
と突き放してきた。
クアラスの女子の1人が
「ねぇ、ねぇ、ゆきはちゃん(僕)、どうせ男子に戻れないんだから男子の秘密教えてよ。
いろんな意味で。
ゆきはちゃんは性転換者なんだから男子の秘密をしゃべる義務があるんだよ」
と聞いてきた。
他の女子も興味津々だ。
思春期の女子というものは厄介で僕は男子の秘密を根掘り葉掘り答えさせられた。
ここでは言えない18禁の内容も含めて。
それから放課ごとにクラスの女子が僕に群がる。
まるで珍しいものを見るように。
委員長(井瀬木)に聞くと僕が女子として受け入れられるかどうか見定められているとのこと。
だから思春期の女子の質問に助け船も出してくれない。
それから僕は性転換した経緯、趣味や恋愛についても根掘り葉掘り聞かれた。
当然、僕が女の子が好きなことも一瞬で知られた。
そして昼休みにある女の子から告白もされた。
その女の子は同性愛者で僕のことを一目惚れしたのだそう。
もちろん断ったが、教室に帰ってくると同じ性転換者でり恋人の二子 妹夕ちゃんがかなりのヤキモチを焼いていた。
(ちなみに僕は彼女のことをまゆちゃんと読んでいます)
まゆちゃんを説得するのに大分時間がかかりました。
午後からはレクリエーションでいろんなゲームを楽しんだ。
中でもフルーツバスケットは小学校以来だけどかなり盛り上がった。
(まさか高校生になってやるとは思わなかったけど)
みんなカードを適当にひき、そこに書いてある果物のチームとなる。
イチゴ、ブドウ、ミカン、リンゴ、メロン、パインと言ったチーム名だ。
僕はブドウのチームに入った。
他のメンバーも適当にばらけた。
そのゲームの中でちょっと変わった女の子に会った。
正確には隣になっただけだが。
「ねぇ、ねえ、私はあなたたちの味方。
この校舎のスパイなんだ。
つまり私も性転換者。
お互いいろいろと頑張ろうね」
僕はかなりビックリしていたが即座に周りの女の子が
「気にしなくて良いよ。
この娘は生まれた時から女の子だから。
なんかよく分からないけれどいつの間にかその設定が出来ただけ。
無視して良いから」
と忠告してきた。
僕はその自称性転換者の人の顔を見ると何処かムスッとしているようだった。
授業が終わると地獄の時間が始まった。
寮は一応僕らのために割り振られていて安心だったのだが問題はその後。
お嬢様学校のクラスの委員長らしき人が授業の終わり際に突然立ち上がって
「私たちはあなたたちを歓迎します。
これから一週間よろしくお願いします。
つきましてはこれからの一週間、さらに仲良くなるために裸のつきあいを要求いたします。
これから毎日。
あなたたちが女子の本質を理解するためにも一緒にお風呂に入りましょう。
どうせ私たちと同じものが付いているのです。
恥ずかしがることはありません。
女同士、仲良くしましょう」
そう言うとクラス中、拍手が起きた。
これから僕たちは銭湯という地獄に向かう。
もちろん、そこでもいろんな事を根掘り葉掘り聞かれた。
それに本物の女子の裸に僕たちは赤面した。
これから僕たちはこういった社会で頑張らなければならない。
男子だった頃が非常に懐かしいし今日ほど男子に戻りたいと思った日はない。
とにかく本物の女子は怖い。