表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/19

トランスジェンダー(後編)

(注意;この話は沖村おきむら 波音なみねの視点でお送りします)


 私は沖村波音おきむらなみね、15歳。

性転換は10歳の時、このクラスでは1番の古株。

故に女子としての矜恃は1番に持っているわ。

それに私は生まれた時から女子として育ってきた。

自分が男子だったという自覚はないの。

性転換した時は本当に嬉しかったけど、元々同性としての女友達は沢山いたし、男の子たちを異性と感じていたし、だから性転換する前と後で世界が変わったと言うことはないの。

このクラスの人たちと違って。


 私のクラスは同い年の元男の子たちで溢れているわ。

別にそれはそう言う教育機関に集められてきた子たちだからしょうがないのだけど。

問題はみんな不慮の事故(病気)とはいえ突然女の子になってきた人たち。

だから、みんな女の子として育てられてきていないと言うこと。

つまり、中身は男子。

クラスメートは見た目美少女だけど中身は思春期男子。

この人たちを立派な女子に育て上げるのは至難の業。

担任の先生は本当に大変だと思う。

私の親戚だけど。


ちなみに私は元々、女の子として育てられたことは内緒にしている。

だって私だけなんだもの。

逆に言い出せなくてね。


 ここからは私の愚痴ね。

本当に女子としての自覚があるのはほんの一部。

委員長と私ぐらい。

いつもその話でお互い愚痴っている。


 委員長は女の子になるために一生懸命頑張っている。

他の誰よりも。

あまりにも頑張りすぎてちょっと矛先が違うような気がする時もちらほら。

私の次に女らしいとさえも思っている。

私もその努力を認めている。


 しかし、他のクラスメートは女としての自覚が足りない。


 まずはスカート。

履き慣れていないのは分かるけど、あまりにも酷い。

椅子に座る時、スカートがしわにならないように座らなければならないのにそんなのお構いなし。

みんな、スカートにしわが付いちゃっている。

それに座ったら座ったでショーツが丸見え。

足を広げて座る人の多いこと。

注意をしてもその場では治るが気がつくとまた振り出しに戻る。

本当に女子としての自覚が足りない。


 しゃべり方は女言葉、半々、男言葉半々といった感じ。

今では慣れたけど、女の声で男言葉丸出しの教室は一種異様だ。


 あと、ブラ透け問題。

クラスの大半がキャミソールを着ていないのだ。

本当に着ているのは私と委員長を含めごく一部。

私がキャミを着てきてと頼んでも「可愛らしいのはちょっと」と敬遠されている。

いや、あんた可愛らしいブラやショーツを着ているじゃない。

何でそれを着れないのよといつも心の中で罵倒している。

新入りに至ってはブラさえも付けていない。

まぁ、まだ胸が発育していないからだけど。


 そして問題は九之坪くのつぼ 鞠投まりな

あいつが1番男子が抜けていない。

恋愛対象は男子らしいのだが、そのせいもあって1番気が緩んでいる。

未だに男子脳なのになぜか自分が1番女子に溶け込めていると思っている。

未だに男言葉だし、胸がでかいにもかかわらず恥ずかしいからとブラさえ付けてこない。

本人曰く面倒だとも言っていた。

おかげでブラ透けじゃなく胸そのものが透けている。

私から見てもかなりいやらしい

そのくせ本人は気にしていない。

周りの自分が女の子と自覚していないクラスメートも「お願いだからブラだけども付けて欲しい」と自分のことを棚に上げて懇願されているくらい。


 うちの学校は女子高とは名ばかりの男子校だと思っている。

会話の内容も女子のそれとは大分違う。

会話の内容は大体、スポーツ、格闘技、少年マンガ、女性アイドルやグラビアタレントの話で盛り上がっている。

女子がする会話としてはかなり異様だ。

でも私は少女マンガの話や男性アイドルの話、そして恋愛ドラマの話で盛り上がりたい。

大体、その話で盛り上がれるのは委員長と(九之坪)まりなぐらいだ。

まりなは男子脳のくせに恋愛対象が男子のせいか男性アイドルの話には目がない。

そこから最近は少女マンガや恋愛ドラマを見始めたのだそうだ。

少女マンガや恋愛ドラマではどうしても男子目線で見てしまうのが苦痛だとも言っていた。

まぁ、彼女なりに頑張っているのだろう。


 そうそう、女の子特有のスイーツの話にはみんなが食いつく。

男子の時には語れなかった話だそう。

みんな、甘いものには目がないらしい。(私も含めて)

但し、お店には入れないらしい。

彼女たち曰く本物の女子と比べられるのが苦手なんだそう。


 もうすぐ地獄の合同授業が行われる。

本校の本物のお嬢様と一緒に授業をするのだ。

彼女たちはもちろん、生まれながらの女の子、私たちとは違う。

その彼女たちと一緒に授業をするのだ。


 何が地獄かというと徹底的にそこで女子教育がなされる。

それも今まで以上に。

そこでは男らしい仕草、男言葉は禁止。

本校の生徒と同じようにお淑やかにしなければならない。

もちろん、会話も女性らしい会話、つまり、男の子がするような会話は禁止。

私は別に苦労はないのだけど。クラスメートのほとんどが苦労するだろう時間。

しかも一週間。

まりなも苦労するだろうし、新入りは特に苦労するだろうと思う。

しかも地獄の合同授業は2ヶ月に1回。

私たちはこうやって少なくても女性として普通に暮らせるようになっていくのだ。

本物の女子と一緒に過ごせるのは貴重なこと。

社会に出れば普通のことなんだから。

だから私たちは早く普通の女性にならなければならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=144158326&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ