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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
第1章
9/59

8話

とても残念なお話です。

宿はどこも満室らしいですよ。

田舎もんが泊まれる部屋はね!


さすが王国、宿は思ったよりたくさんあったのだが、どれもこれも田舎のクソガキはお断りらしい。

なので、他の区にあるだろう宿を探しに行かなければならなくなった。足がパンパンなのにね!


とりあえずもう一度ギルドに戻った。んでさっきのオバさんにまた聞いてみたところ、どこの区にも宿はあるらしい。

なので、オバさんに場所を聞いたら地図をくれて宿の場所にマーキングしてくれた。優しさがしみるわー。


もらった地図を見ると、王国はなかなか広くて参った。

城から扇状に街が広がっているのだが、区分けが微妙に曖昧っぽい。

だいたい45度ずつに区が分かれてるんだが、境目はここだ!ってとこが無いらしい。


そもそもこの世界はなかなか雑なところが多い。

王国には貴族制度があるらしいが、上、中、下位貴族って分け方らしい。


しかも位は金を払えば上がれるのだとか。オバさん曰くなんだが。

一般人でさえ貴族になろうと思えばなれるらしいし。貴族軽いなー。


そのせいかは分からんが、それぞれの区もどんどん広くなっていったらしい。

でも広いくせして商業区、居住区、貴族街(区じゃねぇのかよ)のたった3つしか無い。雑だな。


もやもやしながら宿を探していると、なんとびっくり。

道に迷った。地図を見てるのに。


とりあえず止まって周りを見回し、地図を確認。

わからん。どゆこと。

とりあえず人に聞く。ちょっと怖いんだよなー。


一応見た目は優しそうなお姉さんに聞いてみよう。

「すいません。ここって、地図で見るとどの位置になりますか?」

「さあ?」

と言ってどっかいった。いや見てないじゃん。


ただあの反応的にこの場所は商業区に近いか、入ってる可能性がある。おかしくね?

配置的には東が商業区、真ん中居住区、西が貴族街。

西に向かって歩いてたはずなんだけどなんで?


もう一回聞いてみっか。

今度はおっさんにゴー。


「すいません。ここって地図ではどの辺になりますか?」

「ん?ちょっと地図を見せてね。……………今はこの辺だよ」

と言って教えてもらった所は、やっぱり商業区に入ってるだろう場所だった。なんでやねん。


「あの、俺ギルドからまっすぐ歩いて来たはずなんだけど、なんでここに出るんですか?」

「この地図古いよ。何度か区画整理したり、建物を改修したりしたから間違えたんじゃ無いかな」

おいマジかよ。いやでも方向変えたりしてないからそれもおかしくね?


「いや、俺西にまっすぐ歩いたつもりだったんですけど」

「ギルドは一度改修されて向き変わったんだよ。だからだね」

あのオバさんも雑かよ。もうしんどいよ。


商業区にしては珍しく優しいおっさんにありがとうして、宿探しに戻る。ていうか改修すんのに向き変える?謎すぎる。


やっとの思いで宿に到着。もうここを旅の終点にしたい。

宿の位置も結構遠くなってて、貴族街よりやや手前位まで来てしまった。遠いよバカヤロー。


早速チェックイン。もう夕方になってしまったしね!歩かされまくったからね!


「すいません。一泊したいんですけど」

なんかすいませんばっかりなんだけど。

「なんだ坊主、お前1人か」

またこれかよー。もう疲れたんだよー。


「そうです。ダメですか?」

「いや、金さえ払えば誰でもいいさ。んで一泊だったな。今晩と明日の朝飯の代金含めて銀貨1枚だな」

払えるな。手伝いとかはしなくてすみそうだ。


「はいどうぞ」

「…………お前これ本物か?」

いやなんでだよ。こいつふっかけやがったのか。

「どこどう見たら偽もんなんだよ。ガキ相手だからってふっかけんなよ」

俺だからいいけど他の子なら泣いちゃうぞ。


「お前みたいにガキが1人で宿に来るなんてこと普通ねぇんだよ。厄介ごとなんか持ち込まれたく無いからな」

「なんも無いよ。こんなかわいい子供が悪い事するように見えんのか?」

「自分で言ってるやつなんか信用するかよ。ほら、部屋の鍵だ。そこの廊下の3番の部屋だ。さっさと行け」

扱いがひどいよ。マジで泣いちゃうぞ?


宿のおっさんは飯の時間には呼びに来てくれるらしい。というわけで、待ちわびたお休みタイム。


ぐっすり眠って休みを取っていると、おっさんに起こされた。ごはんですね。

部屋を出て食堂に行く。

するとおっさんがちょうど飯を持って来てくれた。くれたんだが。


「おっさん、これなに」

「見てわかるだろ。パンとスープだ。とっとと食って部屋に戻れ」

「いや全然足りないんだけど。ちゃんと金払ったじゃんか」

「お前みたいな田舎くさいクソガキを泊めてやってるんだ。むしろ感謝してほしいくらいだね」

あいたー。こいつもかー。


諦めて食って部屋に戻って寝た。疲れてたもん。

またもぐっすり眠ってたんだが問題発生。

誰かが部屋に入って来た。

ぐっすり寝てたんだが、親父の訓練のせいで気配を察知出来るようになってたため、つい起きてしまった。あかん、しんどい。


入って来たのはやっぱりおっさんだった。

何しに来たか気になるので、狸寝入りして待つ。

すると、なんとびっくり。俺のカバンを漁り出した。こいつ最悪だな。

しかも、金を取ってポケットに突っ込んでやがる。もう激おこ。


「おいおっさん。金返せ」

「何!……クソガキ、起きてたのか」

「お前のせいで目が覚めたんだよ。いいから金返せ」

「うるせえ!ガキのくせに大金持ちやがって!お前が悪いんだ!」

そんな無茶な。ていうか、そんな大金だったんか。


「おっさんからすれば大した金じゃねぇだろ。でも、俺には大事な金なんで、とっとと返せ」

「なんだと?こんだけ有ったら1年は過ごせるんだぞ!………お前もしかして貴族のガキだったのかか?」

そんな大金かよ!あのオバさんなんにも言わなかったぞ。


「いや違うよ。魔石売ったらもらったんだよ」

「何?お前魔術師なのか?」

「違う。いいから返せよ」めんどくせぇ。

「嘘つけ。お前魔術師なんだろ。でも無けりゃこんなに金貰えるほど魔石を集める事出来ないだろ。……いや、お前誰かの使いでもやってるのか?」

クソしつこい!めんどくせぇよ!


「違う。いいから返せ。出てけ」

「なんだと?金をよこさねぇとお前を追い出すぞ!ここは俺の宿だ!」

ひでー。


「こんな夜更けに小さな子供をほっぽるのかよ。可哀想だろ」

「お前くらいの歳のやつを甘やかす大人なんかいねぇよ。いいからとっとと決めろ。金を渡すか出て行くか」

横暴すぎて草。とか言ってられないよね。


「ふざけんな、どっちも無いだろ。もう金払ってるんだから出て行くのもお前に金を渡す必要もねぇじゃん」

「うるせえ!早く決めろ!それともぶっ飛ばされたいのか?俺は元々闘士だったんだ。魔術師だって倒せるぞ!」

こいつマジで何なんだよ。芋ヤンキーみたいな事言うなよ。


「奇遇ですね、俺も闘士ですよ。だからこそ思うんだけど、そんなに金が欲しいならあんたも魔物退治して魔石取ってくればいいじゃん」

「お前バカか?闘士が魔石を壊さずに魔物退治なんて至難の技だぞ?出来るわけ無いだろ」


俺も親父もやってたんだが。そんでそれをエリス嬢に献上してたんだが。全部何故か親父の手柄になってたんだけどね。ひどい。


「俺でも出来るんだからおっさんにも出来るでしょ。だから早く金返して魔石でも取ってこいよ」

「また嘘をついたな!お前みたいな弱そうなガキがそんなこと出来るわけ無いだろ!大人をナメんなよ!」

もうめんどくさすぎる。しょうがない。


「もういいよ。わかった」

「わかりゃいいんだよ。とっとと金を置いて出て行け」

なんか違くない?


「騎士団に言いつけてやる!」

必殺正義の味方!

「何!?………いやちょっと待て。それはやめろ」

効果は抜群だ!


「金も返さないし出てけとも言われて黙ってると思ったのか?俺は絶対許さん!」

正義は必ず勝つのだ。ふはははは。


「待て!お前本気か?騎士団なんかに関わる気なのか?だとしたら俺を巻き込むのはやめてくれ」

「え?なに?どゆこと?」

「お前騎士団が何なのか知らないのか?」

え、なに怖い。


「知らん。弱きを助け、悪を挫く!とかじゃないの」

「そんな訳あるか。あいつらの殆んどは貴族だぞ?俺ら平民なんかゴミみたいにしか思ってないぞ。動くのは王の命令だけだ」

「んじゃ俺のタレコミなんてなんとも無いじゃん。なんでだよ」

「あいつらは気まぐれで何をするかわからん。だから平民は極力避けているんだよ。だからやめてくれ。金は返すから」

そんなやばいのかよ。親父見てるとそんな気全くしないんだけど。


おっさんは言った通りきっちり全額俺に返した。

やっと安心して寝れる。

でも先行きが不安にしかならない1日になってしまったよ。とほほってか。

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