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楽して生きたい拳闘士  作者: 猫背
第1章
8/59

7話

頑張った。

なんと20日で王国に到着。親父すげえわ。

ただ俺の思ってたように全くいかなかったのが辛い。


初めて着いた村から何度も日中走り続ける苦行を強いられるとは思わなかった。

カバンに食料しか詰めない理由はわかったけど。

その後3つ程村を経由したけど、全部最初の村と同じで、

夜にどうした。泊まれるけど親は?魔石?売れないよ。

毎回聞かれて萎えた。答えもだいたい一緒だし。


まぁなんやかんや乗り越えて着いたがな、と思っていたが待ちが長い。

王国は城下町と城をぐるっと壁で囲ってあり、門が東西の2つだけらしいのだが、この門での検査が長い。


俺はとても残念ながら道中、今目の前の行列に並んでる旅人や行商人などに出会うことなく、1人ただただ走り続けて来たのだが、その人ら全員の荷物をくまなくチェックしているらしい。魔術かなんかで確認出来ねぇのかよ。


足を生まれたての子鹿みたいに震えさせて、1つ前に並んでる旅人のにいちゃんと世間話をして待っているんだが、列が全然進まん。多分1時間ほど待ってる。

もう訳わからん。にいちゃんに聞けばわかるか?


「にいちゃんや。この列はなんでこんなに進まんのですか?」

「田舎の村だから知らねぇのか。最近王国に密偵が入ってるとかなんとからしいぞ。こんなでかくて強い騎士が沢山いる国に喧嘩売るような奴がいるとは思えねぇんだけどな」

なんか嫌なこと聞いたな。流石に前振りとかそんなは無いだろうけど止められそうなのがメンドイ。


また更に多分2時間。にいちゃんと世間話して待ちました。足がもう動かないよー。


「にいちゃんや。お腹が空いた。なんかくれ」

俺は常に腹ペコだ。宿飯で食いだめして何とか保たせることしか出来なかったからね!


「悪いな。俺もなんも持ってねぇんだ」

「魔石と交換は?」

「子供相手にそんなけち臭いことしねぇよ。本当に無いんだ。俺も我慢するしか無いんだよ」

マジ辛い。密偵した奴誰だよ。フルボッコなんだからね!


また更に多分2時間、やっとこ門に着いた!

にいちゃんが門番と仲よさそうに喋りながら中に入っていく。早いな。このペースでやっといてくれよ。


「こんにちは。僕初めて王国に来ました。通ってもいいですか?」

「その前に荷物を見せてくれ」

素直に見せる。いやすっと見せたんだからそんな疑わしいと思ってる顔やめて。


「君。この鞄の中の魔石はどうしたんだ?それに親は?」

「それは自分で取りました。親は村に」

めんどくせぇ。


「………………本当か?嘘をついてるなら正直に言いなさい」

もー勘弁してー。足つっちゃうー。


「本当ですよ。嘘つくならもっとマシなの言うでしょ」

「確かに。やはり君はあの家に関わりのある子なのだな」

そうだと思うよね。全部の村で聞かれたもんね。


でもやっぱり王国での方が有名らしい。家名を言ったらダメとかいうクソ訳わからんルールがあるから俺がなんでこんな事してるか伝えにくくてしょうがない。でもこの人聞かずにすぐ納得してくれてる。悪名高い家らしいな。


「この悪習、やっぱり有名なんですね。みんなわかってくれるんですよ」

「悪習なんて言ってると、君の家の関係者に怒られるよ。とても大切にしていることらしいからね」

「んなもんクソ食らえってやつですよ。本当帰りたい」

この思い家族に届け!


そんなこんなで一応の検査をされてから無事に入国成功。事情を知ってくれてたからなのか金払えとかは言われなかった。ラッキー。


だがここからが本番だ。いや今までも本番。

これからする事を決めようと思うのだが、いくつか選択肢を親父が用意してくれた。帰るが無いんだがね。


1つが騎士団に入る。テストがあるらしいが、入れれば見習いでも給料と寮みたいな住むところを提供してもらえるらしい。

だが辛そうなので却下。そもそも世界一周させる気ねぇじゃんこれ。


2つ目がギルドというもの。誰でも依頼を出せて、誰でもそれを受ける事が出来るというものらしい。これが今のところ一番良い選択肢かな。

金もこれなら何とかなりそうだし。


3つ目が親父か母さんの師匠とやらに会え。との事。探せばおそらくすぐ見つかるらしい。

が、絶対なんかあるよな。却下かな。


4つ目、これが一番無い。親父の実家に行く。

母さんの実家も王国らしいがこっちは逆に行くなと言われた。普通逆だろ。

まぁ、これは親父が最後の手段って言ってたから本当に最悪の手段なんだろうが。


他に自分で思いつくならそれをやっても良いとか言われたけど、帰る以外思いつかないから諦めて2つ目。


周りを見ながらギルドの建物を探す。もう読み書きは完璧だもんね!

と思いつつカバンの中身をどうするか考えた。重いんだもん。

道行く人に聞こう。


「すいません。魔石ってどこ行けば売れますか?」

「……………………」

まさかのスルー。この世界も都会の人は冷たいらしい。

その後も何度か聞こうとしたがまさかまさかの全スルー。見た目的に無視されるほどひどい格好でもないし、歳的に敬遠される事も無いと思うんだが。まぁ後一回だけチャレンジしよ。


「すいません。魔石ってどこ行けば売れますか?」

「うるせぇクソガキだな。そんな事も知らねぇのか?お前田舎から来ただろ」

え、当たり強いんですけど。


「あ、はい。ハイル村からですけど」

「やっぱりな。そんなクソ田舎じゃ、常識も教えてやれる奴もいる訳ねぇもんな」

俺はそれも自分で学べとか言われてただけなんだけどね。


「すいません。なので教えて貰えませんか?」

「嫌だね。田舎もんはとっとと田舎に帰れ」

とか言ってどっか行った。田舎嫌われすぎじゃね?


諦めてぶらぶら城下町を歩いてギルドを探し回る。

歩いてると結構人に見られてる。刺されたりしないよね?

一応警戒して歩いてると、おっさんが近づいて来た。ぼくとてもこわいよー。


「坊主。何か探しているのか?」

え?急に何?

「えっと、ギルドと魔石売れるとこですけど」

「そうか、ギルドはこのまま真っ直ぐ行けば着く。そこで魔石も売れるぞ」

え、めっちゃ優しいんですが。もしかして騙されてる?


「おじさんは田舎もん嫌いじゃないの?」

「ん?あぁ、お前商業区を通って来たな。あの辺の奴らは田舎もんが嫌いなんだ。この辺は居住区だから田舎もんが嫌いな奴は殆んどいないな」

なにそれめんどくせぇ。


おっさんが言うには田舎もんは商売の相手にならないし、対応がすごく面倒くさいやつが多いらしい。なんかごめんね。


優しいおっさんのおかげでギルドに到着。結局荷物は減らさず足がダルンダルンだ。辛い。

とりあえず入る。


中に入ると受け付けが五ヶ所あるのだが、どこに行けば良いかわからん。

オマケに一ヶ所だけ異様に列が出来てる。

んで一ヶ所は誰も並んでない。って事は俺みたいなギルド初メーン用の受け付けをしてくれるんだろう。では行こう。


「すいません。初めてギルドを利用するんですけどここの受け付けで合ってます?」

と聞いてみた。ちなみに受け付けの人はいかついオバさん。

「もちろん大丈夫だよ。受け付けはどこも同じだからね」

「え?んじゃあの列は?」

「あれはウチの職員目当てさ。阿呆らしいだろ?」

ちらっと見ると超かわいいお姉さんでした。俺は何も言えねぇわ。


「とりあえず魔石売りたいんだけど」

「あぁいいよ。その鞄の中身かい?ちょっと見せとくれ」

と言われたのでカバンごと渡す。

すると、それを持って奥の部屋に入って行く。

と思ったらすぐ戻って来た。


「換金出来たよ。全部で大銀貨8枚だよ」

これなー。未だになれないんだよなー。


金は全部コインになっている。メンドイ。

下から鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨になってて、更にそれぞれに大小のサイズがある。メンドイ。

大は小の10倍で、1つ上のコインは100倍の価値らしい。

鉄貨が1円だと、大鉄貨が10円、銅貨が100円。

めんどくせぇ。数字にしろよ。


「ボケーっとしてどうしたんだい?まさかイチャモンでもつける気かい?」

「いや全然。むしろ貰いすぎかもとか思ったくらい」

鉄貨が1円だと80万だからな。怖いよ。


「まぁいいよ。他になんか用はないのかい?」

「宿の場所が知りたいです。あとギルドの依頼ってどうやったら出来んの?」

「宿は商業区に行けばどこか空いてる筈だよ。依頼はギルドにあんたの情報を登録すれば受けられる様になるよ」

ダブルでメンドイ。俺面倒くさいしか言ってないな。


「情報の登録はどうすんの?口頭でいい?」

「そんなわけないだろ。魔術であんたの情報を特別な紙に写すんだよ」

なるへそ。

「料金は銅貨二枚だよ」

ですよねー。


受け取ったばかりの大銀貨を一枚渡して大人しく待つ。未だにお釣りが幾らか計算出来ません。数字にしてよ。

また奥に行ってたオバさんが紙を持って戻って来た。これやなー。


「ほら。この紙に手を乗せな。届くかい?」

「なんとか。ほい。んでどうすんの?」

「ちょっと待ってな」

と言うと紙に魔力を流し出した。そんだけ?


「出来たよ。これであんたもギルドの一員だ」

「おー。実感ないね。ていうか身分証みたいのないの?」

「そんなもん必要ないさ。あんたが死んだりしない限りは、魔術があんたを識別してるから他人に利用されたりする事もないさね」

無駄にすげぇ。


「んじゃ依頼とかは?それも魔術なん?」

「その通り。あんたが受けたい依頼を、受け付けの私達が魔術を使って受領や、依頼の成功を確認したりするんだ」

「って事は魔物退治とかも、魔物の体の一部とか持ってこなくていんだな」

「あんた結構怖い事言うね。まぁその通りだよ。魔術で倒したか確認できる。ついでに倒した数によっては色を付けてあげたりする事もあるからね」

そういうの言っちゃっていいの?


「まぁ今日はいいや。疲れてるから明日にするよ」

「そうかい。一応言っとくけど、ギルドにあんたの所持金を預けて管理したりも出来るよ?どうする?」

「そうなんだ。んじゃ大銀貨7枚預けるよ。ネコババすんなよ?」

「ネコババ?よくわからんけど取ったりしないよ。それじゃお釣りの銀貨9枚と大銅貨9枚、あと銅貨8枚ね」

一応持っててくれたのね。パクられたと思ってたよ。


受け付けのオバさんにお礼をしてギルドを後にする。

誰も俺に絡んだらしないよね?お金預けてもう手元に無いもんね?


なんて思ったが誰も来なかった。メンドイ奴らはいないみたいでホッとした。

だが宿に行くのも面倒くさそうで萎える。

でも足が限界だ。諦めてまた行こう。嫌われてるけど。



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