始まりの丘
「おや、最初はティオか」
「後の人には悪いけど、僕で終わるから」
花で埋め尽くされた地を蹴って飛び出したティエオラの一撃を、ウラノスは避けもせずに受け止めて、最大まで肉薄して一撃を叩き込む。
だが、その一撃は地面の花によって妨害され、巻き付いた花に剣をへし折られる。
「これは流石に強いな、本当にティオで終わってしまうな。そうならないように頑張ろうか」
空から降り注いだ隕石を砕いたティエオラは、大地を割ってウラノスを挟んで潰す。
「危なかったな、もう少しで死ぬところだった」
腕から血を流したウラノスは、ティエオラの体を押して倒す。
受け身も取らずに地面に倒れたティエオラを抱きとめて、花の中にそっと寝かせる。
「眼を使うの反則じゃない? 剣の勝負と言うより常識の外での戦いだったけど」
「確かにここは異世界じゃないけど、私たちみたいな存在が居ても多少バランスは取れるだろ」
「そうじゃないと面白くないものね」
両手に剣を握った聖冬は、左手の剣を直前で地面に突き刺し、右手の剣だけで切り掛る。
「あんたのスタイルは両手だろ、一本で大丈夫か」
「この左手は貴方の存在を消す為のもの、本来なら右手の剣すら必要ないわ」
聖冬の左眼から燃え上がった金色の炎は、ふたりが動いた事により舞い上がった花を、跡形も無く消し去る。
「対策くらいしてるよ、あんたを見て私は育ったんだから」
ウラノスの長い髪が左手に近付くと、聖冬は髪を避けて腕を引っ込める。
その遅れを突いたウラノスが聖冬の剣を灰に還して、腰に腕を回して抱きしめる。
「怖かったし苦しかっただろうけど、私は何も出来なかった。そろそろ私も眠る時が来た」
その言葉が終わると同時に、ウラノスは聖冬を突き飛ばして空を見上げる。
空から飛来した友希那に貫かれたウラノスは、地面に倒れ伏す。
「もうお父さんに空を司る権利は無い、ウラノスは私が貰った」
「くれてやったんだろ、私にはもう無理だからな。過去がこの体を蝕むとは思わなかった」
「過去とは物理的に無関係、もう忘れても良いんじゃない。てか忘れてよクズ」
「私が申し訳なく思ってるのはお前の事だけだ、それを忘れても良いと言うのなら。いや、お前ももう立派な大人か……」
跡形も無く消え去ったウラノスが居た場所には、貫かれた穴が空いたローブだけが残っていた。
「さあ帰って、私とお母さんふたりにして」
僅か二年で終わりを迎えた大規模なテロは、数ヶ月で終った戦争を巻き起こして、英雄を生み出して息を引き取った。




