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叛抗姫の人形  作者: 聖 聖冬
32/41

意地がある

戦況は全体的に見てもあまりよろしくない、ウラノスクイーンの戦闘機は度重なる戦闘のダメージで煙を上げ、疲弊し切った混合隊は戦線を維持出来ず、ウェストミンスター寺院前まで後退する。


唯でさえ過半数があちらに回った為、援軍は期待出来ない。


殺しても殺しても向かってくる姿に、既に混合隊は士気が下がり始めている。


「申し訳ないアンジュ、ベイルアウトする」


「了解、降下中は援護する」


操縦席からベイルアウトしたウラノスクイーンにディストーションを張り、Arsenalまで走って弾丸を補充する。


「セレナ、ライブは後何曲?」


「次で最後だけど、キツそう?」


「セレナ、最後の曲はピアノとボーカルだけ。私たちも加勢出来る」


「分かった、そう言う訳だから」


通信に入った友希那の提案を、セレナは即座に承認する。


寺院から出て来た友希那とベルが戦場に飛び出し、チェリーが負傷者の傷を見ていく。


姫輝の補充とバトンタッチして前線に出ると、ウラノスクイーンが地面に着地していた。


パラシュートを外す時間を作る為に加勢しようとするが、待ち構えていた軍人に囲まれる。


「どーん!」


一発受ける覚悟をして引き金を引くと、凄い勢いで目の前の軍人が吹き飛ばされる。


長い髪を左に纏めたグラーフが、オリジナルのツヴァイを脇に抱えて立っていた。


ぐったりとしたツヴァイを立たせて、私の頭を二回優しく叩く。


「久し振りだな、逃げた事は評価しないが、帰って来た事は評価してやる」


「逃げた覚えはありませんし、戻った訳でもないです」


「どちらにしろ良かったって話だ。それと日本が攻撃を受けたらしい、反撃を実行しているが、立ち上がりは引き分けらしい」


姫輝に伝えるべきか迷ったが、通信が繋がっている為全て筒抜けになっている。


「日本に戻る。すまん」


来ると予想していた言葉がそのまま来て、この戦線もここまでと見切りを付ける。


「退却しながら戦うから、セレナたちも歌が終わり次第撤収」


「もう終わった、今から撤退を開始する。愛奈、撤退命令を全隊に」


「了解、撤退命令承認。出しました」


「でも、逃げるって言っても何処に?」


「取り敢えず王宮に逃げ込むから、殿はMI6トップの三人に任せる。数百を三人で頑張りなさい」


「面白いテロリストのリーダーじゃないか、私を仲間外れにするとは。勿論この私も殿を……」


攻撃を緩めずに笑うウラノスクイーンがそう言うが、セレナの命令で動くのはテロリストだけで、MI6はウラノスクイーンの命令しか聞かない。


ここで壊滅するのは殆ど敗北に落ちるという事で、また戦闘機が来たらそれはより堅実的になる。


「全員に撤退命令を出してウラノスクイーン、指揮官である貴女も引くべき」


「撤退命令は今出したが、娘を置いて……私だけ逃げれるか」


「あー、もう。変な意地を張るところは貴女に似たかも」


「それは大変だ、楽しくなってきたな」


「ならないから集中して、ちらちらこっち見ない」


「怒られてしまったぞグラーフ、ツヴァイ」


ゴッドアイと多数の小型機を展開しているツヴァイは、ウラノスクイーンの言葉に反応せず、黙々と敵を一撃必殺する。


その様子を見ていたグラーフが渋々口を開き、ウラノスクイーンの言葉に応える。


「はいはい。仲が良いようで良かったです」


「愛娘は何処に入れても痛くないぞ」


「その煩い口にぶち込んでやろうか」


「どっちも煩い」


そう短く言葉を発したツヴァイに反論出来ず、それを誤魔化すように敵の中に深く潜る。


「これは殿、敵の中にあまり突っ込まない」


「分かった分かった、私たちが悪かった。そう正論ばかり言うなツヴァイ」


「ウラノスクイーンは煩いけど、私は煩いないだろ。なぁアンジュ」


「ふたりともそう言う子どもっぽいところが煩い」


後方が遠くまで行った事を確認して、Arsenalからホーミングを放って離脱する。


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