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3 四季王国の女王様

「オジサン、国王様って怖いんでしょ?」


縮こまる様に座っている赤目のメリィが、ウサギの様に震えながら

上目遣いでたずねる。

オジサンは、首をゆっくり横に振り


「国王様は実はね…」


そう言いながら微笑み、本のページをめくった。



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



『一方その頃、夏の女王と秋の女王の行動を知らない国王は

何も言わず玉座に座り、ただ季節が春に変わるのを待っていた。』




厳しいそうな強面な顔で、ただ座り続ける国王様。

しかし、心の中では色んな事を考えていた。


(あぁ…冬湖ふゆみは風邪をひいていないだろうか。

大丈夫だろうか…。なんでわしも入れてくれないんじゃろうか?

ああぁあぁぁ…元気でいてくれ…。)



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△



「…なんてね、心の中では、娘の事を考えていたんだよ。」


「へぇ~そうだったんだ~。」


メリィや他の子達が感心してうなずく中

オジサンのは、気持ち良さそうに話を続けた。


「国王様って冷たく見えていたけど、心の中は凄く優しいんだ。

表情が硬いから、何時いつ誤解ごかい受けてんだよね~。


ほら、《冬の女王を春の女王と交替させた者には

好きな褒美ほうびを取らせよう。 》って書いてあっただろう?

あれはね、食糧危機で一番最初に困るのは民のものだから…だったんだ。


次に《ただし、冬の女王が次に廻まわって来られなくなる方法は認めない。

季節を廻らせることを妨げてはならない。》って書いてあっただろう?

あれは、大事な娘達が傷付けられない様に。との事だったんだ。」


口の動きが止まらなくなったオジサンにドン引きしながら

子供達は、優しいので相槌あいづちを打つ。


「へ…へぇ…。そういう事だったんだ…。」


それで更に拍車はくしゃが掛かったオジサンは

薀蓄うんちくを続けようと、目を輝かせて子供達を見た。

すると冷めた目で、子供達がオジサンを見ている事に気付き


「…ごめんなさい。」


ちゃんと反省して、オジサンはへこみながら本読みを再開するのであった。



□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■



『隣に座る女王様も、何も言わず春を待っておられました。


何時も通り、余りにも静かなもので

召使共の話し声が聞こえてきた。


「まだ現れぬのか春の女王様は。」


「このままじゃ、この王国も御仕舞だわ。」


「季節が変わらなくとも、女王様の力が届かない所に行けば助かるわ。」


「この国を捨てるのか!!」


「このままじゃ全滅しちゃうじゃない!!」


など、皆の不安はどんどん増して、いつ反乱を起こしても

おかしくない状況に、四季王国はおちいっていたのでした。』

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