仲人
新たなる人物、宵月さん。
こういう人が、書きたかったのです。
「おーい、しっかりしてるか?!
ぼんやりとしていた顔を除き混んだのは、同僚の男、宵月だった。
藍色の髪をかき分け、木風のとなりに座る。
「宵月…お前なんで」
「どうせ、思い出してたんだろ」
内側のポケットから取り出した煙草に火をつけ、吸い始めた。
宵月は無類の煙草好きだ。
「吸うか?」
「遠慮する。吸わないって約束してるからな」
そんな木風に宵月は、深くため息をついた。
と同時に、罪悪感が押し寄せた。
「わりぃ」
木風にとって暁は、唯一無二の大切な存在だった。
結ばれるのには時間がかかったし、お互いを理解するのは無茶だった。
暁の第一印象は、喰われやすいだった。
ほんわかしていて、マイペース。常に控えめでにこにこ笑っている。
そんな暁に木風は、少しだけ興味を持った。
と同時に、馬鹿にしてしまった。
(こんなの…直ぐに殺される…)
商業としての感覚、根っからの母性本能が起こしてしまった。
そこからだ。二人が行動し始めたのは。
無事にそして長年かかり、二人は結ばれた。
無謀だった二人が結ばれたのは…仲人がいたからだ。
その仲人が、宵月だったのだ。
お互いの事は、部長と言う立場で知りつくし、それを利用したのだ。
「今思えば…暁さんはお前の全てだったんだな」
「は…?」
煙草の灰を落とすと懐かしいように目を細めた。
「覚えてないのか?お前、自分で依存してるって言ってたんだぞ」
依存発覚。
シリアスですけどね。