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嫌われ者と能力者  作者: あめさか
第二章 寺内奏子編
52/232

CSFC

「CSFC?」


 俺と七原が同時に声を上げる。


 何だろう。

 初めて聞く言葉だ。


「何かの略称か?」


 そう質問すると、遠田は困ったような顔をする。


「わたしも正式には知らないんだ」

「何だよ、それ」

「……でも、何となく推測は出来てる」

「じゃあ、その推測を聞かせてくれよ」

「ああ、わかった。順を追って説明するから」

「そうしてくれ」

「……聞いた話なんだが、この『CSFC』っていうグループはわたしを支持してくれる人が集まって作ったグループらしいんだ」

「それは誰から聞いたんだよ」

「CSFCの代表者だ」

「その代表者はどこの誰なんだ。遠田の説明は分からない事が多すぎる」


 遠田は眉をしかめながら話す。


「すまない……わたしも分からないことだらけという意味では戸山と同じだよ。CSFCの代表者は、どこの誰かも分からないんだ。なぜなら、その代表者はわたしに会った時、目出し帽を被っていたからな」

「何で目出し帽なんか」

「わたしもそれが気になって聞いたよ。その代表者は、『彩音さんとは普通の出会い方をして仲良くなりたいから』と言ったんだ。そしてその後、さんざん理想のわたしとの出会い方を語られたよ」

「乙女かよ」

「ああ。そうだ。CSFCは、この学校の一年生から三年生までの女子生徒のグループらしい。代表者も女子生徒だった」


 遠田は女子生徒の人気が高いとは聞いていたけど、ここまでとは思わなかった。

 熱狂的すぎるだろ。


「つまり、遠田さんのファンクラブみたいな感じ?」


 七原が遠田に問い掛ける。


「七原さん、その通りだよ。さっきの推測って話に戻るが、『CSFC』はカラフル・サウンド・ファン・サークルの頭文字を取ったものだと思うんだ。カラフル・サウンドは『彩られた音』という意味で……」

「彩音ファンサークルって事だな」

「ああ、そうだ」


 遠田は赤面しながら答えた。


「出来れば、この件は墓まで持っていきたかったんだけどな」


 たしかに、これを遠田に自分で説明させるのは酷だったと思う。


「まあ、なんでもいいや。疑問は大いにあるけど、遠田を裏切るような連中じゃないことは理解できたよ……で、ちなみにCSFCのSNSグループには何人いるんだ?」

「三十人くらい」

「は?」

「え?」

 

 七原と同時に声を上げていた。


 三十人もいるのか。


「世の中、イカれてるな」

「ああ。わたしも同じ事を思ったよ」


 遠田は悟ったような顔で頷いた。

 まあ、30人もいるのなら有用な情報も得られるかもしれない。


「役に立ちそうか?」

「ああ。まさに今、必要としているのがこれだよ」

「そうか。良かった。恥を忍んで、このグループの話を出した甲斐があった」

「じゃあ、試してみるか。そのグループに寺内の事を聞いてくれ」

「何て書けばいい?」

「じゃあ、俺が代わりに書いていいか?」


 遠田が頷いたので、俺は遠田の携帯を操作する。


 遠田彩音『これから、ちょっと皆さんに頼みたい事があります』

 遠田彩音『秘密厳守でお願いします』

 遠田彩音『二年生の寺内奏子さんを見かけた事がある場所を地図にマークして下さい』


 そのメッセージを送った後、さっきの地図の画像を送信した。


「どのくらい掛かるのかな?」


 七原が言う。

 それだけの間に、マークが更新された。


「え? もう?」

「早いな」


 そして、更新ボタンを押す度に地図上に記されているマークの数が次々と増えていく。


「すごいな。みんな暇だな」


 そんなことを言っている内にも、マークは増えていく。

 俺達が送った地図は、もう絶句してしまうほどに、マークだらけになっていた。


 その地図を注視する。

 さっき気になっていた駅前通りの西側にもマークは付いていた。

 そして、全くマークがついてない場所もある。

 それは東西に短く、南北に長い楕円が浮かび上がらせていた。

 その部分――この範囲こそが、委員長の避けている場所、つまり委員長の父親の行動範囲なのだろう。


 思わず感心してしまう。


「これ。すげえ便利だな」


 七原がうんうんと頷くが、遠田は難しい顔をしている。


「いや、ここまでとは思わなかった。結果が出るのが早すぎるだろ」

「そうだな。早ければ早いほど狂気を感じるよな。でも便利じゃないか……っていうか、これで夏木を探せば良かったんじゃないか?」

「いや、このグループの存在を知らされたのは最近だ。それに、やっぱり戸山がいないと夏木を見つけたところで、どうにもならなかっただろ」

「まあ、そうか……それにしても人数が多いと、ここまではっきりと分かるんだな」

「でも、なんで楕円状になってるのかな?」


 七原が問いかける。


「おそらく、片側は職場で片側は自宅じゃないのかな。委員長の父親は、その間を行き来するだけの生活って感じなんだろう」


 彩乃『お役に立てましたか』

 遠田彩音『はい。ありがとうございました』

 彩乃『今後も何でもお申し付け下さい』


 彩乃……か。


「……これってさ、もしかして」

「何だよ?」

「グループのメンバーリストを見せてくれないか」


 遠田は嫌そうな顔をしながら、俺に携帯を差し向けた。

 メンバーリストを見ると、彩香やら彩子やら、ずらっと彩の付く名前が表示されていた。

 偶然? ……いや、偶然じゃないだろ。


「全員がユーザー名に彩の付く名前を付けてるんだな」

「……戸山の指摘の通りだ」

「ほんと、狂気しか感じ取れないよな……でも、一方で遠田への忠誠心が高いって事でもある。その事を踏まえて、もう一つ頼み事をしたいんだ」

「何だ?」

「このCSFCを使って、委員長の父親の事を調べてくれないか?」

「は?」

「だから、このグループに委員長の父親の居場所を訊ねるんだよ」

「いや、さすがにそれは無理だろ。それは人数でどうにかなる問題じゃない」

「やってみないと分からないだろ」

「そうだけど……」

「それが成功したら、ついでに委員長の能力についても調べたい」

「は?」

「それも成功したら、排除もしてくれないかな」

「便利そうなもの見つけたからって、堕落するな!」

「わかってるよ。今のは軽口だ。でも、とにかく委員長の父親の居場所くらいは聞いてみてもいいんじゃないか?」

「わかったよ」


 遠田は渋々と言った感じで頷いた。

 俺は遠田の携帯を使い、CSFCに質問を流した。


 遠田彩音『寺内奏子さんの父親の居場所を知っている人はいませんか』


 しかし、返答は帰ってこない。

 さすがに無理だったか。


 彩乃『誰もいないようなので。少しお時間をください。今から調べます』


「あ、調べてくれるらしいな」

「この彩乃って人が代表者なんだね、きっと」


 彩那『わたしは寺内さんの友人の上田奈緒さんに話を聞いてみます』

 彩香『わたしは原口遙香さんに聞いてみます』

 沙彩『わたしは桜井友梨佳さんに聞いてみます』


「ああ、委員長の友人に聞いてくれるみたいだな。一気に三人だ。やっぱ数の力って、すげえな」

「だね」

「でも大丈夫かな? 秘密は守られるだろうか?」


 遠田が不安そうに言った。


「最初に秘密厳守って言ってるだろ。こいつらの事を一番信じてやらないといけないのは遠田、お前だろ」

「いや、代表者としか会ったことがないんだけど」

「不安なら、もう一回注意書きを書いておくよ」


 遠田彩音『わたしが寺内さんの事を調べているのが知られないようにして下さい』

 彩乃『わかってますよ。元より、そのつもりです』

 彩陽『わたし達は彩音様を影なから応援するのが本分ですから』

 彩夢『誰一人として尻尾を出しませんよ』


「ほら、安心したか」

「ああ。わかったよ。もう、どうにでもしてくれ」


 そんな事を言ってると、また新たなメッセージが表示される。


 彩那『寺内さんの友人の上田さんによると、城北高校の山野香織さんという方が小学一年生からの寺内さんの友人で、親友とも言うべき存在らしいです』

 彩芽『わたし、城北高校に知り合いがいるので、連絡を取りますね』


「なんか、本当に手際がいいよな」

「そうだね」


 彩乃『寺内さんの自宅が分かりました。マークを付けておきます』


 先程の地図に青色のマークがついた。


 彩乃『周辺にいる人は、ご近所さんに聞き込みをしてください』

 彩理『近所にいるので、聞き込みしますね』

 彩葉『わたしも近くにいるので参加します。寺内さんの自宅の東側を担当します』


「本当に凄いな、CSFCって」


 俺の呟きに、遠田と七原は強く頷いたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 「FC」って辺りで、若干推察が効くよねw
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