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嫌われ者と能力者  作者: あめさか
第六章
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依頼


「そこで有馬さんに一つ依頼があるんです。おかしな依頼だと思うかもしれませんが、引き受けて貰えませんか?」

「内容によるな。聞かせてみろよ」

「ある能力者の家を調べて欲しいんです。有馬さんなら何かを見つけられるかもしれない」

「何だよ、その依頼は」

「そこには能力者の男女が同棲していました。その一人が一華さんで、もう一人は玖墨くずみ柚人ゆずとさんといいます。二人は昨晩排除され、今は保護されてます」

「排除で記憶を無くしたって事か?」

「そうです。二人は能力に関する記憶を失いました。当局による家宅捜索も行われたんですが、大したものは見つかってません。今は出来るだけ多くの情報を必要としてるんです」

「そういう仕事は畑違いだ」

「不倫調査で家捜やさがしする事は?」

「まあ、あるにはあるが、それほどスキルがあるって訳でもない。ってかそれ以前に、俺みたいな部外者がそんな事して許されるのか?」

「……そうですね。ちょっと確認してみます」


 携帯を取りだし、霧林の連絡先をタップする。

 砂見病院からの帰りに電話番号を聞いておいて良かった。

 三津家だと間違いなく全否定してくるだろうから。


「もしもし、霧林さん」

「ああ戸山君」

「先程はありがとうございました」

「いやいや、いいんだよ。で、何か用かな?」

「こんな時間で悪いんですけど、今から玖墨さんの家を調べたいんです」

「今から?」

「すみません。突然、こんな事を言って」

「明日じゃ駄目なのかい?」

「証拠品が持ち出されたら困りますし、明日になったら状況が変わってるかもしれません」

「しかしなあ……」

「楓も言ってましたよ、こういうのはやれる時にやっておかないと後悔する事になるって」

「そうだね。楓ちゃんには、いつもそうやって振り回されてるよ」

「楓はそれを徒労とろうに終わらせた事がありましたか?」

「その余裕……もしかして、今日中に片を付けるつもりかい?」

「情報は集まってきてはいるんですけど、いまいち決め手に欠けるって感じです。玖墨さんの家で決定的な何かが見つかれば、今日にでも排除が出来るはずです」

「わかった。手配するよ」

「あと、知り合いの探偵に同行して貰っていいですか?」

「その人は能力に関する知識は?」

「あります」

「そっか。わかった。担当者には助手が付いてると伝えておくから」

「助手が二人付いてると伝えて下さい」

「ああ、七原さんもだね」

「はい。じゃあ、今すぐ向かうんで、よろしくお願いします」

「うん、了解」

「それと、もう一つ霧林さんに頼みたい事があるんですが――取り敢えず移動したいんで、後で掛け直していいですか?」

「うん。わかった。待ってるよ」

「ありがとうございます」


 通話終了のボタンをタップすると、七原がいぶかしげな目で見つめて来る。


「戸山君――今、決め手に欠けるって言ってたけど」

「ああ、あと一歩で一華さんの一件は解決するよ」

「本当に?」

「ああ、本当だよ」


 そう言って頷くと、有馬へ視線を向けた。


「許可が下りました。問題なしです」

「ったく、憎たらしいほど口が立つな」


 有馬はドアの方へ歩いて行き、立ち止まり振り返る。


「どうした。早く行くぞ。急ぎなんだろ?」



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