EP00:プロローグ
初めての方は初めまして。初めてでない方はお世話になります。月見里銃三と申します。
乗るしかないBIGウェーブの末端に便乗して異世界もの始めてみました。週に1~2回の更新を目指して頑張りますので、読んで頂ければ喜びます。評価感想頂けましたら大喜びです。どうぞよろしくお願いします。
それでは、始まり~始まり~!
とある男は賭けに出た。
賭け――それは、このクソッタレな現代世界に別れを告げて、憧れの異世界へと転移、もしくは転生することだ。
男は様々な文献や伝承を読み漁り、異世界へ行く為に、ひとつの解答を導き出した。
その解答とは――『トラックに跳ねられる』というイベントがもっとも異世界転移、または転生する可能性の高い方法だという事であった。
その他にも、他人の転生に巻き込まれる・クラス単位での大規模転移に巻き込まれる・重病を患って意識不明になり、目を覚ますと乙女ゲームの敵役ヒロインに転生している・VMMO世界に閉じ込められるなど、いくつかの有力パターンを確認したが、どれもトラックに比べると絶対数が少なく確実性に劣る。
この中で、最も手軽かつ安全に試せるのは、例えば人ごみをうろつきインフルエンザなど重篤性の高い病気に罹った上で、『高熱に浮かされ意識不明となり目が覚めたら悪役ヒロイン転生!』だと思われるが、自分がヒロインに転生してしまっては肝心のエルフやケモミミ美女もしくは美少女とのラヴラヴチュッチュが覚束なくなるので却下。
やはり、希望に近い異世界転移もしくは転生を成功させる手段はトラックに跳ねられるしかない。可能であれば、人助けをしつつ跳ねられればなお良し。
そう心に決めた男は、妖しげな魔術や呪術、精霊術、占星術、挙句の果ては世界のカルト宗教の情報などまでも集め、アレをこーしてコレをあーした上で、決行するべき日時と場所を特定した。
そこに科学的理論などは一切存在しなかったが、男の中で納得の行く理由づけがされたので問題は無い。
ちなみに、男が弾き出した異世界転生もしくは転移の成功率は、4.6491122%。
もちろん、高い数字では無い。いやむしろ、怪しげなメソッドによって組み立てられた事も併せれば限りなくゼロに近い。
だがしかし――
「だけど、やるんだ。俺は賭ける。俺自身に!」
『ダァシエリイェス!』
男はカッコいい(?)セリフをホームの中央で叫びつつ、品川駅から京急線に乗って実行現場へと向かった。
異世界転移、もしくは転生などというバカげた、しかし途轍もなく巨大な夢を掴むために……
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