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1話:桜

不定期投稿です

見上げれば絡まりそうな電線もない。高層ビルもない。あっても木造の二階建てが限度である。要するに遮る物の無い青空が広がっている。

とはいえ、ずっとこんな不便な田舎に住んでいる訳ではない。去年……要するに僕、春野ハルノ セイが中学3年生に上がった時に父が事故で他界した。突然の事だったがまだ高校も何となくでしか決めていなかった僕は中学卒業と共に母の故郷へと行く事になった。

まあその故郷が問題な訳で……コンビニは無い。スーパーはとなり島まで船で行かなければ無い。住む家は木造で築100年を超えるらしい。なにせこの島は江戸時代からの街並みを保存するという大義名分があり、リフォームは許可の降りた所のみ可能になる。僕達が越してきた家は元々祖母の家だったが祖母が高齢で母の兄、要するに僕の叔父夫婦の元で面倒を見てもらう事になり家を母が譲り受けたという訳だった。唯一の救いとしてこの島でもネット環境はあるという事と同年代の女の子が非常にレベルが高いという事だった


そんな訳で住み始めてもう半年以上経った訳だけど僕は運が良くボッチではなかった

木造校舎の歴史深い高校へ着き、傷みからスムーズに開かない横開きのドアを無理やり開けて中に入る。あまりにも古いため土足である


「うぃーっす」

「うぃー。セイおはよー。ギリだけどまた海?」

「おはようサクラ。まあそんなとこ。落ち着くんだよね。海」


教室に入るといつも僕を見上げながら笑顔で挨拶してくれるのがサクラこと星崎ホシザキ サクラだった


「私は見慣れすぎて何も感じないけどーまあ島を気に入って貰ってるといい方へ考えることにするよ」

「最近じゃ越してきて良かったと思ってるよ」

「ふーん。何で?」

「飯は美味いし。学校は楽しいし……」

「女の子は可愛いし?」

「そうそう。って!」


確かにサクラは可愛い。田舎で化粧品も満足に無くほぼスッピンだが、小顔でパッチリした二重に若干のたれ目、大きな鳶色の瞳に筋の通った小鼻、そして薄っすら桜色の可愛い口。髪型は黒髪のセミロングのストレートで前髪は軽く右から左へと流している

身長は本人曰く145cm(実際は143cm)と小柄だが胸はクラスメイトよりはありそうだった

何で知っているかって?そりゃスキンシップで腕を絡めてきたりヘッドロックされたりする時に味わって……何でもない

この島のというか高校の男女比は2:8と女子の方が圧倒的に多く美人が多いがその中でもサクラが僕は一番タイプで付き合いたいと思っていた


「この島の女の子はみんな可愛いからねーセイは誰がタイプなの?」

「サクラみたいな子かな」

「ふぇ???」


いつもみたいにキモいとか言われたら冗談だって!と笑って誤魔化す気満々だったのだがサクラはプシューっと煙が出そうなほど真っ赤になっていた。


「…………めるぞ!」


「ん?」


「そこのカップルいつまで見せつけてくれてるのかな?」


担任の加藤先生がいつの間にか教壇にいて。クラス全員が僕達を見ていた


「つ、付き合っていないです」


「ん?そうか。まあそれはどうだっていい。ホームルーム始めたいんだが?あーあと、付き合ったら避妊はするなよ。この島は子供が少ないからな!産んだら皆で面倒見てやるから心配ないでヤりまくっていい

ぞ!」

「加藤先生それが華の20代の女教師の言う事ですか!?」

「まあ一応この島の方針だからな。でもサポートは事実だから皆も彼氏出来たら励めよ!」


隣のサクラを見ると放心していた


昼飯時になれば流石にサクラも落ち着き、席をくっつけて一緒に飯を食べる。残念ながらこのクラスに男子は僕だけで飯を一緒に食べる男子はいない。というのは建前で同じクラスになったサクラと仲良くなってからはずっとこうやって飯を一緒に食べている。僕はこの時間の為に学校に来ているといっても過言ではなかった


肝心の会話はと言うと……


「今日は何か狩りたい奴いるー?レベルはMAXになったし……」

「えっと、サクラは何か欲しい素材ある?」

「天龍行きたいんだけどー……昼休みじゃ時間足りないからねー放課後付き合って欲しいな!」

「オッケー」

「じゃあ昼休みはセイに決める権利を進呈しよう!」

「うーん。じゃあ未消化手伝って」

「うぃーんで何?」

「☆4.5.6の卵納品3連発よろ!」

「面倒いのきたー」


と、こんな感じで【モンスタークエスト〜狩っちゃう?狩られちゃう?〜7th】通称:モン7という都会では人気のゲームの話だ。と言うより、知り合いのいない地に転校し、島にはそもそも中学と高校はひとつしか無く、皆が一斉に進学する為にコミュニティが出来上がってる中に余所者が入って来た状態の僕は、その状況に耐えられず入学3日目にしてゲームに逃げた。ソロ(ひとり)でやるにはハードルが高いゲームだが仕様がないと始めたのだがその結果、島唯一の隠れゲーマーでおいそこのお前一緒にモン7やろーぜ(キャッチコピーである)状態だったサクラとある意味運命的に仲良くなれたので結果オーライである


そんな訳で昼休みは卵納品クエストをやって終了した

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