甘濃(あまこい)
とても単純だが私は笑顔で話しかけてくる男の子を好きになった。
私、三村水樹は恋をしたのだ。
最初はなんかよく話しかけてくるなと思う程度だったが毎日学校であい、何気ない会話で笑いあうたびに恋をしていったんだ。
私はとても彼のことをかっこいいと思うが客観的に見るときっと平凡で地味な男子なのだろう。
しかし、そんな彼と話すたびに彼の魅力に引き込まれていった。
自分でも気づかないうちに彼を好意のある目で見るようになったんだ。
そんな私は彼にさりげなくいつもの会話の流れで彼女がいるのか聞いてみることにした。
濱田生斗がいつものように和気あいあいと話かけてきてふと彼は友達の彼女の話を持ち出してきたときだった。
「……でさぁ、そいつの彼女がやたらめったら酒癖悪いらしくて……」
「へぇ~、そうなんだぁ……」
チャンスよ私!自分を励ましつつ切り出した。
「あのさぁ……」
「ん…なに?」
ドキドキする胸を落ち着かせながら彼の視線に合わせず、何気ない感じを装い言葉を紡ぐ。
「そういえば濱田君は彼女とかいるの?」
「はぁ?なにいってんだよ。おれにできるわけないじゃん。だって俺だぜ。俺のこと好きになるやつなんていないって」
「ふぅぅぅん」
そういって笑う濱田に三村はそれとなく相づちをうった。
「ちょ、ふぅぅぅんてなんだよ。否定してくれよ。」
おどける彼に笑いながら「はいはいかわいそう、かわいそう」とかえした。しかし、心の中は信じられないほど喜びに満ちていた。
(やったぁぁぁぁ)
それからというものの積極的にアタックをかけていった。
とはいえさりげなく、だけど………
彼に私が好意を抱いていることを少しでも気づいてほしくて何気なく面白いとこ好きとか、私彼氏いないわとわざわざ言ってみたり、彼と話す時だけ笑顔でいるときを増やしたりしてみた。
これで彼が私に好感を持ち、私への告白も秒読みかと勝手に想像して盛り上がっていた……。
そして………
急に彼の転校が決まった……
突然だった。
でも前々から決まっていたことらしく彼の男友達はみんなして知っていたらしい。
私には一言もいってくれなかったのに………
「明日海外に行くんだよ。お別れだなぁ。」
そう言っていつもの帰り道で濱田がぼやく。
「そうだねぇ。寂しいなぁ」
平静を保ちつつ何気なくを気取り言ってみた。
寂しいどころじゃない。胸が張り裂けて爆発してしまう。
苦しくて今にも吐き出しそうだ。
涙腺をチクチク刺激する気持ちを押し殺し心の中で彼からの告白を呑気に待っていた自分を殴りたくなった。
「なんだよその言い方。棒読みじゃん。」
そう言われ自分の言い方がどれだけ変だったかを思い知る。
「なぁ。三村は寂しくねぇのかよ。」
「そんなの寂しいに決まってじゃん!」
怒声に似た大きい声で叫んでいた。
その時想いは濁流となりダムは決壊した。
「いきなりいなくなるとかあり得ないから!そういうこと普通よく話す私にいわないかな!?なんで他の友達に言いながら私に言わないの?私のこときら……」
と、その時私の声は遮られた。
濱田が私の唇を塞いでいた。
なんとも不馴れでとても不自然なキスが私を覆っていた。
「好きだ。」
ただ一言。その言葉は私の脳を濃い蜜で満たしていった。
「私も……好き」
そして濱田は海外に行ってしまった。
私はまた彼に会うことを胸に今日を謳歌していく。
また、会える日まで。
ずっと。
カバンです(*´ー`*)
恋愛ものは、じつは人生で初の作品でして、主人公の女の子の気持ちや相手の男の子の気持ちを考えながら書くととても楽しくすらすら書いてしまいました(笑)
この作品を見て共感してもらえたり純粋に楽しんでもらえたらとても嬉しいです。
と、最後になりましたが読んでくれた方、ありがとうございました。