忍び寄る影8
「――どうやら、しくじったみたいねん♪」
闇の中、声が響く。
言葉とは裏腹に、楽しそうな少女の声が。
「ま、そんな簡単にヤられちゃっても困るけど〜」
くすくす。本当に、本当に楽しそうに告げる。
「――なに? 仕留め(ヤっ)たの?」
するともうひとつ、暗闇に声が響く。
随分と落ち着いているが、こちらは少年のようだった。
「逆よ、逆。――あんまり早くヤられちゃっても困るでしょう?」
楽しみがなくて、と笑う少女。
「――まぁ、そうだけど。でも本当に、アレがそうなの? 全然、そんな風には見えなかったけど」
笑う少女に肩を竦め、゛青色の公員服″を脱ぎ捨てながら少年。
「え〜? 本当に見に行っただけだったの〜? 連れてくれば良かったのにぃ」
ちぇっと唇を尖らせてむくれる少女に、ため息して少年。
「――はぁ。そんなことしたら、それこそ楽しみが減るじゃないか」
「ま、それもそっか。ねね、どんな感じだった!? カッコいい? 可愛い?」
むくれていたかと思えば、直ぐ様キラキラした瞳を向けてくる少女に、
「……知らないよ。なんか被ってて顔見えなかったし、一瞬だったし。ただの子供と、黒い人にしか見えなかったけど」
素っ気なく、少年は返すだけだった。
「え〜? 何それぇ。つまんなーいっ! まぁ、私も見に行ったらいいだけか♪」
くすり、笑って答える少女。
闇に、少女の楽しそうな笑い声が響き渡った――…




