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三題噺もどき5

図書館

作者: 狐彪
掲載日:2026/03/25

三題噺もどき―はっぴゃくよんじゅうさん。

 




 静かな館内では、ブーツの音というのがよく響く。

 わざと響かせているのかと思うくらいに、よくよく響いている。

「……」

 それをうるさいとは思わないし、スニーカーでも多少足音は聞こえてしまうのだから、仕方がないと思う。時折、時計の針の音ですらきこえてくるのだ。人が居るはずなのに。

 ここに居て、うるさいと思うのは、人の話声だ。

 小さなささやき声ならまだしも、ただの会話をするのにも少し緊張する。

「……」

 それだと言うのに、館内に設置された机では、どこかの学生が固まって何かをしていた。

 制服を着ている以上、身元の証明をしているようなモノなのに、よくそんなことができる。

 コソコソとしていると思えば、突然わっと笑い声をあげたり、話始めたり。

「……」

 まぁ、図書館という場所は、確かに勉強には持って来いではあるが。

 なんというか、ここはお喋りの場所ではないと言うことを知らないのだろうか。

 そもそも、彼らが勉強をしているのかどうかも分からない。

「……」

 少し用事があって、図書館に来てみれば、こんな集団と遭遇するとは。

 そんなに早い時間でもない、夕方と言えば夕方の時間だ。

 今日だって、いつもより下校時間は早いが普通に学校はあった。……普通にと言うか、クラスマッチだったから早い時間に帰っている。正直、ジャージのままで帰りたかったが、それは校則で許されていないので、制服を着ている。

「……」

 重たいリュックサックを背負ったまま、本棚の前で探し物をしていた。

 たいして広い図書館でもないので、通路を横切るのに申し訳なく思うが、この鞄に財布やらスマホやらが入っているので、置いておくわけにはいかないのだ。

「……」

 図書館にきてすぐは、いつも通りの、静かで居心地のいい場所だったのに。

 いつから来ていたのか、あの集団が来てからというもの、声がやけに耳に触るし、人の足音でさえ反応してしまう。それくらいどうってことないのに。

「……」

 もう少し離れた位置に居ればいいのだけど、何せ探している本がこの辺にあるのだ。

 騒がしい集団の真横……うるさくって仕方ない。

 探すのにも集中できないし、ここにあるのかもわからなくなってきた。

「……」

 実は、ほんの数分前に司書さんらしき人が注意はしていたのだ。

 それからすぐは静かにして居たけれど、ああいう人たちはすぐに忘れてしまうのだろう。頭が悪いのかな。

「……」

 あぁだめだ。

 探すのにも気が散ってどうにも。

 明日また来なおそうかな……うるさすぎて話にならない。

 明日までクラスマッチですぐ帰れるし、あの子も図書館に行きたいと言っていたから、誘って来てもいいかもしれない。……そうするか。

「……、」

 と、踵を返したところに。

 足元に何かが転がってきた。

 白くて丸い……消しゴムだろうか。

 拾い上げると、少し汚れているのが目に付いた。ゴムのぐにぐにとした感触が指先に帰ってくる。消しゴムって不思議だよなぁこれで消せるんだから。

「あ、」

「……」

 持ち主は、あの喧しい集団の1人だったらしい。

 転がった消しゴムを追いかけて、こちらまで来ていたようだ。

 どこか気まずそうに声をあげ、手を伸ばそうとしていた。

「……どうぞ」

「、ぁり………ます」

 小さな声で、そういい捨ててそそくさと戻っていった。そこははっきり言ってもいいんじゃないか。

 うん、もう少し愛想よくすればよかっただろうか……しかしこちらは色々と邪魔をされている立場なのだ。愛想もくそもないだろう。

 そもそも静かにしていれば何も問題はないのに。

「……」

 そそくさと戻っていった矢先に、何やらひそひそと話し始めたが。こちらをチラチラとみているようだが、何を……ああいう人たちって何を考えているのかほんとによく分からない。

 まぁ、私にはもう関係のないことだ。

 もうさっさと帰って、家でゴロゴロするとしよう。

「……」

 明日もクラスマッチかぁ。

 まぁ、どうせ写真を撮っているだろうし、明日は準決勝と決勝のみだ。

 写真を撮ることに集中できるのでありがたいな。










 お題:消しゴム・ブーツ・図書館

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