第48話 :ゴミの価格と、計り知れない根 ---
【第一幕:橋と板——権力の排泄物】
東京、防音に優れた冷たい装飾の個人会議室。運命づけられた記者会見の数時間前。
空気が重く、ほとんど固まりそうだった。長谷川責任者はそこに座り、数日で全ての生気を吸い取られたかのような憔悴した面持ちをしていた。彼の向かいには、平日の優雅さも落ち着きも失い、ただ焦燥感だけを漂わせる御前龍之介、そして壁にホログラムで映し出され、氷のように無表情な岩崎氏がいた。
これは議論ではなく、一方的な、侮辱に満ちた処刑であった。
「長谷川君、君がどれほど失敗した道具か分かっているのか?」御前の声にはもはや何の飾りもなく、軽蔑が剥き出しだった。「『微風計画』?君が巻き起こしたのは、我々自身を巻き込む竜巻だ!相手を微塵も動かせないばかりか、我々のシステム全体に面倒を振りまいただけだ!」
岩崎氏の投影から、起伏のない声が流れた。一言一言が精密な外科手術のメスのようだった。「君の判断力は、君の忠誠心と同じく、欠陥品だ。我々は明確なツールキットを提供した。それなのに君は『杉本健一』のような不良品しか製造できず、その不良品の反逆を許した。君の存在は、今や我々の『安定した予測可能性』に対する最大の不安定要素だ。」
長谷川は喉が渇き、何か言おうとした。御前が手を挙げて遮り、書類と一枚の小切手をテーブルの上に滑らせた。小切手の金額は莫大だったが、御前の動作は生ゴミを捨てるかのように軽蔑に満ちていた。
「サインしろ。これは故障した部品としての、君から最後に搾り取れる『リサイクル価値』だ。」御前の眼差しは冷たい。「記者会見の後、これを持って消えろ。『優雅』や『効率』に関連するいかなる場面でも、二度と君の名を聞き、姿を見たくない。君は俺に吐き気を催させる。」
岩崎が言葉を継いだ。声には一切の温もりがなかった。「君には発言権はない。君の声も、意志も、今この瞬間から抹消される。君は『謝罪―消滅』のプログラムを実行するだけの存在だ。理解したか?」
長谷川はうつむき、瞳から最後の抵抗の光が消えた。彼は震える手でペンを取り、書類に署名した。彼は、これから舞台に押し出され、最後の指令を実行する空っぽの操り人形になった。
数時間後、記者会見場。長谷川は操り人形のように、頭を下げ、謝罪し、引責辞任を表明する一連の流れをこなした。隣の監視ルームで、御前と岩崎のホログラムは冷ややかに生中継の画面を見つめていた。
御前は短く冷たい笑い声を漏らした。「見ろ、よく従うことよ。だが残念だ。従順なゴミも、所詮はゴミだ。街の半分が買えるほどの金をかけて、このゴミを消毒し、梱包し、歴史のゴミ箱に永遠に掃き捨てるためだけに。まったく滑稽だ。」
岩崎の投影はしばらく沈黙し、ゆっくりと言った。「さらに滑稽なのは、これほどの代償を払ったのに、我々の標的は無傷どころか、我々の『攻撃』によって、より一層…目立つ存在になっていることだ。彼らはまるで別の物理法則の中に存在しているようだ。我々の資源も、ルールも、彼らにとっては…別の形の養分でしかないのか?」
二人は重苦しい沈黙に包まれた。失敗への怒りはまだあったが、その奥には、より深い、根底を揺るがすような無力感があった。彼らが熟知し、生きる糧としてきた世界の論理が、『平心湯』という名の旅館の前では、完全に機能しなくなっているように思えた。この認識上の挫折は、単なる計画の失敗よりも、彼らをいら立ちと陰鬱にさせた。
---
【第二幕:泥と光——母の愛の無言の貫通】
東京での冷たい取引と時を同じくして、静かな田舎町で、もう一つの無言の嵐が醸成されていた。
杉本健一は幽霊のように実家に戻ってきた。簡素な荷物と、ネットの世界ですでに確定した「汚名」を一身に浴びて、東京から逃げ出してきたのだ。家に着くと、彼は中学時代の古い部屋に飛び込み、鍵をかけ、自分と外界を完全に隔絶した。
扉の外の母は、問い詰めもため息もつかなかった。彼女はただ、扉の向こうの死のような静寂に耳を澄ませ、毎日昼と夜の食事の時間に、熱々の食事をそっと部屋の前に置いた。食事はいつも心を込めて用意され、彼が子供の頃から好きだった料理がいくつか必ず含まれていた。
彼女はまず軽く二回、扉を叩く。少し間を置いて、もう一回叩く。これは長年の合図で、「ご飯できたよ、戸口に置いてあるからね」という意味だ。そして彼女は何も言わずに背を向け、絶対的な空間と沈黙による尊重を残して去っていく。
一日目、戸口の食事は手つかずだった。母は冷めた食事を黙って片付け、次の食事では、出来立ての、より新鮮なものに取り替えた。彼女の沈黙には責めもなく、ただ果てしない待ち続けと受容だけがあった。
二日目の夕暮れ、部屋の中に堆積した自己嫌悪と窒息感がついに限界を突破した。杉本は勢いよく扉を開け、うつむいたまま家を飛び出し、近所のコンビニにほとんどよろめきながら駆け込んだ。彼は視界をぼやかしながら、機械的に一番安い缶ビールを何本か掴み、代金を払い、重たいビニール袋を提げて既に暗くなり始めた街頭に立った。
どこへ行く? 世界は広いというのに、彼には自分を置く場所が見つからない。足には自分の記憶があるかのように、本能が彼を町はずれの、ずっと前に廃墟同然になった小さな公園へと導いた。そこにはきしむ古いブランコがあり、彼が子供の頃、試験に失敗した時、友達と喧嘩した時、誰にも理解されないと感じた時、唯一の「逃げ場所」だった。
彼は冷たいブランコに座り、苦いビールを一缶また一缶と飲み干した。酒は彼を温めず、むしろ全世界から見捨てられたという感覚をより鮮明にするだけだった。足元の空き缶は増えていく。
家で、母は息子の姿がないことに気づき、電話に出ないと知った。強い不安が彼女の心臓を掴んだ。ためらうことなく、彼女は上着を一枚羽織り、急いで家を出た。明確なあてもなく、ただ母親の直感で、息子が子供の頃に行きそうな場所をいくつか巡った。
公園の薄暗い街灯の下で、ブランコに丸くなり、缶酒を仰ぎ、足元に空き缶を散らばせた孤独な人影を遠目に見つけた時、彼女の心臓は見えない手で強く掴み締められたように、突然緊縮し、息もできないほどの痛みが走った。
それは息子の「ふがいなさ」に対する怒りや失望ではなく、より鋭く、より無力な心痛だった。彼女の目には、それは社会で挫折を味わった大人ではなく、相変わらずの、小さい頃から内向的で、悔しい思いをすると一人で隠れて泣いていただけの、彼女の息子が映っていた。
「私の子が…どうして一人で全部背負おうとするの…」
母は深く息を吸い込み、溢れ出そうな涙とすべての沸き上がる感情を必死で心の奥に押し戻した。今、泣いてはいけない。彼女は歩を進め、平静に近づいていった。
足音を聞き、杉本は硬直して顔を上げ、母の姿を見て一瞬で狼狽し、思わず手に持った缶を背後に隠そうとした。
母は何も言わなかった。問い詰めも、慰めも、心痛の表情すら見せなかった。彼女はただ、彼の隣の、さらに小柄なブランコに静かに腰を下ろし、錆びたチェーンが懐かしく、どこか安心させる軋み音を立てた。
そして、彼女は一つ、簡素ながらも心を揺さぶる動作をした。
彼女は手を伸ばし、ビニール袋の中の未開封のビールには触れず、杉本が足元に置いたその袋の中から、平静に一缶を取り出した。
「プシュッ――」
プルタブが開く音が、静寂の公園に鮮烈に響いた。小さく、しかし厳かな儀式のようだった。
母は自分から先に飲もうとはしなかった。彼女はその開いた缶を握り、腕を軽く横に伸ばし、自分のビール缶で、杉本の手に持った冷たいアルミ缶を、極めて優しく、しかし揺るぎなく、そっとひとつきした。
「チン。」
かすかで、ほとんど聞き取れないような金属の軽い響き。
言葉はない。だがこの小さな音は、千の言葉に勝る意味を持っていた。それは言っている。「私はここにいるよ。」「わかっているよ。」「一緒にいるよ。」「一人じゃないよ。」
自分の手の中の缶が母にそっと触れられたその瞬間、杉本は全身を無音の雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
言い様のない奔流が、触れられた指先から猛然と湧き上がり、腕を駆け上がって心臓を直撃し、そして心臓の中で轟音を立てて爆発し、勢いそのまま頭頂へと向かって炸裂した! それは悲しみだけではなく、穴があったら入りたいほどの羞恥心、自分を壊したいほどの嫌悪、そしてこの沈黙の愛に全面的に受け入れられたことによる、めまいがするような感動が混ざり合っていた。
彼は口を開こうとしたが、何の音も出ず、すべての言葉は胸に詰まり、激しい、無音の痙攣に変わった。頭頂が炸裂したかのように、その奔流はそこで粉々に砕け、何億トンもの熱く塩辛い「雨」となって、重力に逆らい、重たく頭頂から目蓋へと逆流していった。
「ポタリ……ポタリ……」
涙は流れ出たのではなく、落下した。重く、途切れなく、無音に、彼の手の甲やズボン、足元の土に落ちていった。嗚咽はなく、ただこの最も原始的な身体の放出だけがあった。彼は深くうつむき、全身を抑えきれずに震わせ、この堰を切ったような涙が、『屈辱』『失敗』『自己放棄』という名の厚い汚れを、顔と心から暴力的に洗い流していくに任せた。
この涙による暴力の洗礼の中で、ある硬く汚れたものが洗い流され、ある柔らかく粘り強いものが沈殿した。混乱した脳裏に、今までにない、前代未聞の鮮明な考えが、雲を突き抜ける月光のように浮かび上がった。
「この世が俺をゴミだと思い、踏みつけにしてもいい…。でも、俺が生まれた時から、どんなに役立たずで、どんなに失敗ばかりでも、ただ黙ってそばにいて、今この瞬間ですら俺が買った袋からビールを取り出して共に飲もうとしてくれるこの人を…俺が…これ以上、ただ彼女を心痛させるだけのゴミの山でい続けられるわけがない。」
涙はいつ流れ尽きたのか分からない。虚脱の後に訪れた、奇妙なほどの清明さをもたらした。母親のために生まれた責任感が、新たな背骨のように、崩れかけた彼の魂をゆっくりと支え上げ始めた。
前途は依然として見えず、体制に対抗し、汚名をそそぐために具体的に何をすべきか、彼にはまだわからない。しかし方向性はここに確立された。もう逃げない、もう沈まない。少なくとも、母親に深夜の公園で心配をかけずに済む、少しはましな息子になろう。
彼は濡れた顔をごしごしと拭い、顔を上げ、そばで黙って寄り添い、手にしたビールをほんの一、二口すすっただけの母を見た。彼の声は嗄れ、ひび割れていたが、嵐の去った後に訪れる異常な平静と確固たる意志を帯びていた。
「…母さん、もう飲まないで。夜更けだ。家に帰ろう。」
彼は立ち上がり、助けを待つのではなく、母に向かってしっかりと手を差し伸べた。
---
【第三幕:平心湯の夜空——静かな観測と哲学的結語】
飛騨高山、平心湯。夜も更け、星々が低く垂れ、旅館の中は静けさと安らぎに包まれ、外界の喧騒とは無形の壁で隔てられているようだった。
縁側で、琪琪の瞳に淡いデータのきらめきが流れ、彼女は平静に、長谷川責任者の引責辞任に関するニュース、および関連するネット世論の動向を天神に報告した。
天神は相変わらずだらりと専用の位置にもたれ、報告を聞きながら、顔には少しの意外さも動揺も見せなかった。すべては予想の範囲内で、取るに足らない塵芥であるかのようだった。彼はこれについて論評することにさえ、興味を示さなかった。
琪琪の報告が終わるまで待って、天神は窓の外の深遠な夜空を見つめながら、あたかも日常の些事を口にするかのような、平淡極まりない口調で、最終判決にも似た言葉を発した。
「琪琪、この単純な理屈だけ覚えておけばいい。与えたものが何であるかによって、やがて自分に還ってくるものも決まるのだ。」
そう言い終えると、彼は小さな日課を一つ終えたかのように、気持ちよさそうに体を縮め、手元の漫画と半分食べ残されたプリンへと注意力を戻した。
庭では虫の音が軽やかに響き、温泉の湯気がゆらゆらと立ち上る。平心湯の灯りは温かく、変わらずこの小さな天地を照らし、そして遠く離れたあの田舎町で、絶望の泥の中から方向を変え、命の水脈を探し求め始めた一つの「根」を、無言のうちに映し出しているかのようだった。
【第48話 完】
皆さま、いつもご支援いただき本当にありがとうございます。
最新話を楽しんでいただければ幸いです。
皆さまの一回一回の閲覧が、私にとって最大の励ましとなっています。
心より感謝申し上げます。




