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EARTH Online  作者: 甘太郎
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第二話 アラクの初心

オープニング ネオンの町の雨の夜 最後の250円


シーン: 大阪某町目の路地裏、寒冬の雨の夜

時間:失業からほぼ一ヶ月後の夜、初雪が降ったばかり


都市のネオン(コンビニ、居酒屋の看板)と暗い路地裏が強烈な対照をなす。初雪が冷たい雨に混ざり、ネオンの光の中で砕けたダイヤモンドのように降り注ぐ。アラクは薄手の作業着の上着を着て、ファミリーマートの前で震えている。ショーウィンドウには「アルバイト募集」のチラシが貼られており、文字は雨で滲んでいる。


アラクの独白(白い息を吐きながら):

「寒い…」

(チラシを見つめ、苦笑いしながら首を振る)

「面接でもまた『現実的じゃない』って言われるんだろうな…」


第一幕 コンビニの選択


シーン: ファミリーマート店内

時間:オープニングから3分後


ホットスナックコーナーでの葛藤:

アラクは歩みを遅くし、湯気が立っている肉まんを通り過ぎる時、無意識に一瞥し、その後視線をペット用品コーナーに向ける。

指で唯一の250円硬貨を握りしめたり緩めたりする。

店内の暖房で、彼の濡れた上着から微かな蒸気が立ち上る。

最終的に、彼は一番安いキャットフードの缶を手に取り、置く時、かすかに聞こえないため息をつく。


会計時:

店員(機械的に):

「248円になります。ありがとうございます。」


アラク:

大切にその250円硬貨を差し出し、お釣りの2円銅貨を慎重に上着の内ポケットにしまう。

「ありがとうございます。」


(特写: レジカウンターの灯光の下で、その硬貨がコンビニの冷たい蛍光を反射している。)


第二幕 路地裏の守護儀式


シーン: 路地裏の段ボールシェルター

時間:コンビニを出て5分後


子猫との出会い:

コンビニのドアを押し開ける時、寒風が顔にぶつかり、アラクはすぐに缶詰を懐にしまい温める。

彼は優しく呼びかける:「猫ちゃん?来たよ~今日は雪だね、寒いでしょ?」

一匹の傷ついた三毛猫が段ボールから頭を出し、右前足は歪な包帯で巻かれている。


工具箱の秘密:

彼は工具箱の内蓋を開け、そこには孤児院の子供たちがくれたクレヨンの感謝カードが貼り詰められている。

自作の包帯(材料:ストロー+アイスキャンディーの棒+古いTシャツの布切れ)を使い、慣れた手つきで猫の包帯を交換する。

包帯の結び目を結ぶ時、彼はわざと少し歪んだリボン結びにした。


アラクの会話(包帯をしながら):

「今回包帯を替えたら、きっと良くなるよ~

必ず元気に育ってね!」


(猫が彼の指を軽くなめる。)


第三幕 記憶フラッシュバック 社会の寒冬


シーン: 職業紹介所(回想画面)

時間:3日前の面接過程


会話再現:

職員(机をペンで叩きながら、冷たい口調で):

「アラクさん、何度も言っていますが。『資格証明書』がなければ、お手伝いするのは難しいです。」


アラク(懸命に説明する):

「すみません、でも私は本当に多くの修理ができます、水道、電気、機械…試しに働かせてください…」


職員(不耐煩に手を振る):

「まったく…(はあ…)これは規定で、私たちにもどうしようもないんです。」


去る時:

アラクが背を向ける時、小声で独り言:「…この前、無料で君たちのシュレッダーを直したのに…」

応えるのは、身後から聞こえるキーボードの打鍵音だけ。

ガラスのドアが閉まる時、彼の孤独な背中が映し出される。


第四幕 愛エネルギーの波動 無私の贈り物


シーン: 路地裏の現実に戻る

時間:包帯完了後


飢餓の対比:

アラクがキャットフードの缶を開ける瞬間、彼自身のお腹から大きな「グ~~~」という音が鳴る。

彼はためらうことなく缶全体を猫の前に置く。

雪片が湯気立つ缶の上に落ち、瞬時に溶ける。


システム提示(読者のみ閲覧可能):

検出:個体T-01「無条件養護」行為を実行

愛エネルギー出力レベル:Δ級

検出:個体T-01「資源無償譲渡」行為を実行

愛エネルギー級数急上昇:Β級


自嘲と堅持:

アラク(猫に向かって照れ笑いしながら):

「はは…ごめんね。僕もこれが馬鹿げてるって分かってる…

いつも人を助けてばかりで、自分は食事にも困ってる…

でも、君たちが回復する姿を見るたびに、僕は…」

(声が優しくなる)「少なくとも、誰かの命に少しの温もりをもたらせるんだと思う。」


第五幕 雪の夜の終幕 駅の避難所


シーン: 路地裏の壁際 街頭

時間:猫の食事後


画面構成:

アラクは猫が安心して最後の一口を食べ終えるのを見届けてから、そっと工具箱を閉じる。

彼は壁にもたれて立ち上がり、服のほこりと雪をはたく。

最後に猫の頭を撫で、小声で言う:「おやすみ、暖かくしてね。」


最後の行動と独白:

彼は工具箱を背負い、より深い夜色の中へ歩き出す。

独白(遠くの駅の灯りを見つめながら、長く白い息を吐く):

「今夜も…駅で過ごすしかないな。」


システム最終評価(読者のみ閲覧可能):

個体T-01「純愛の種」核心特徴に符合

信号強度:次元閾値を突破

建議:直ちに優先接触目標として標記


作者のあとがき


第二話はいかがでしたか?純真な青年アラクの物語が始まりました。


実はアラクのような「無条件の優しさ」を持ち続けること、現代社会では本当に難しいですよね。でもそんな彼だからこそ、天神様に選ばれたのでしょう。


次回はついに天神様がアラクの前に現れます!お楽しみに!


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