6.私の悩み
私は、悠也以外とは連絡を一切していない。
見てみるとグループがいくつかあるが、みんな退会しているがほとんど。――いや、全部だ。
連絡をつなげた人でもほぼ「よろしく」という返事に「よろしく」と送っているだけでこれ以上の連絡はなしていない。ときには一言も話さないでただ繋げているだけ、そんな人もいる。
悠也は本当に優しい。こんな私を気遣ってくれる。「嫌だ」とは思わないのだろうか。
なんか悠也といると安心する。なんか昔に戻ったみたい。
「あ、もう時間だから、じゃあね」
悠也が渡しに手を振り歩いていく。その悠也の背中をずっと見つめていた。
「五十嵐、悠也くんかー」
相澤玲奈は外を見ながら言った。今は六時。薄暗い空では月がとても綺麗に光を放っていた。
「ポコリン」と、その時スマホの着信音がなった。確認してみると悠也からだった。開くと悠也から、おやすみというスタンプが送られてきた。私も「おやすみ」と文字を打って送った。
「もうすぐ帰るかー」
歩いている道では暗くて見えないけど桜の花びらが舞っている。そんな感じがした。
実はあまりみんなに言ってないが、中学三年生の冬休みまで体操をグループで習っていた。
やっている間は楽しかった。小学一年生から体操に出会い、頑張って続けてきた。週に六回も行っていた。
コーチも「体操を辞めるな」そう言っていた。私達はコーチに期待されていたのかもしれない。もちろん失敗だらけだったけど、仲間と協力し、励ましながらやっていった。
だが、中学生になるとほとんどみんなが受験や忙しくなっていくため体操をやめていった。残ったのは私ともう一人の同級生だった。
二人だけになったけどそれでも頑張った。大会にもでたり、こっちも忙しかったけど耐えた。体操をやっていたせいか学校でみんなとの関わり方が分からず友達もいなく、とにかく体操一筋だった。ある日、体操を一緒にやっている同級生が言った。
「玲奈ちゃんは、この先怖くないの? 私達、勉強面だったり生活面など、どんどん他のみんなに追い越されているんだよ、怖くないの? 私は本当は体操を続けるの……怖い」
怖い。
体に衝撃が走った。このことを言われた日から体操を続けるのが怖くなった。その同級生も体操をやめ、気づいたら私一人になっていた。怖かった。
私は中学三年生まで頑張って続けようとしたけど精神的に無理だった。大好きだった体操を私は辞めた。
そして私はコーチとの約束を破った。辞めた日から毎日、なにか物足りなかった。
私は友達もできずに卒業した。その日から何もかもが嫌になった。
学校も、
大好きだった体操も、
そして自分も。
本当に悲しかった。こんな私、どうしようもなかった。
ねぇ、どうしたらクラスメイトみたいに友達と話して過ごすことができるの?
どうしたら友達ができるのだろう。
ずっと疑問に思っていた。