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長編集:REAL版人生ゲーム 〜仮想現実の世界へようこそ〜


エピソードを一つの本文に統合しました。

「次元突破編」まで含めた、1話完結の長編短編版です。


『REAL版人生ゲーム 次元突破編――選ばれた者たち』


ルーレットが止まった。


数字は、五。


巨大な盤面の上に立つ風間美依莉――ミヨリの目の前で、金色の文字がゆっくりと浮かび上がった。


『事業に成功して、百万ドル獲得』


「やった! 私、一番乗りで金持ちだよ!」


ミヨリは空から降ってきた仮想の札束を抱きかかえ、子どものように笑った。両腕いっぱいに抱えた札束は、仮想現実のものだというのに、重みも紙の感触も本物としか思えなかった。


だが、彼女はまだ知らなかった。


この“REAL版人生ゲーム”が、ただのゲームではないことを。


ここは、謎の建物に集められた六人が強制的に参加させられた、仮想現実の人生ゲームだった。


ミヨリこと風間美依莉。

サナミこと望月颯波。

ユキヤこと結城優騎矢。

ミキヤこと大河内幹也。

ナナミこと黒川七実。

コジロこと篠原虎二朗。


年齢も性格も違う六人は、何も知らされないままVRゴーグルを装着させられ、自分自身が駒となる巨大な盤面の世界へ送り込まれた。


「次は俺か……」


篠原虎二朗――コジロが白い車の駒を進める。


十マス先に止まった場所は空白だった。何も書かれていない。だが、数秒後、盤面が淡く光り、文字が浮かび上がった。


『選択せよ。

① 無職のまま、宝くじで一千万ドル当選

② 会社勤めを続けながら、宝くじで五百万ドル当選』


「……責任って、重いな」


コジロは小さく呟いた。


金額だけを見れば①だ。だが、無職という言葉が心に引っかかる。働くこと。社会に居場所を持つこと。それは面倒で、重くて、時に自分を縛るものでもある。けれど同時に、自分が誰かに必要とされている証でもあった。


「俺は……②を選ぶ」


その選択と同時に、コジロの服装はスーツへ変わった。彼は驚いたように自分の袖を見たあと、どこか清々しい顔で笑った。


「地味だけど、悪くないな」


次に進んだ望月颯波――サナミの前には、職業選択のマスが現れた。


『なりたい職業を言え。報酬として百万ドル獲得』


サナミは少しだけ迷い、けれどすぐに顔を上げた。


「看護師です」


その瞬間、彼女の服装は白衣へ変わった。胸元には小さな名札があり、そこには“看護師 望月颯波”と表示されている。


「えっ……私、本当に白衣に……」


戸惑うサナミを見て、ミヨリが明るく言った。


「似合ってますよ、サナミさん!」


ナナミも静かに頷く。


「うん。すごく似合ってる」


サナミは頬を赤くしながら、そっと白衣の袖を撫でた。


「ありがとう……」


その笑顔の裏で、小さな決意が芽生えていた。


このまま現実でも、看護師を目指してみようかな。


今まで誰かに言う勇気もなかった夢が、仮想世界の白衣によって、初めて自分のものとして形になった気がした。


黒川七実――ナナミの番になると、同じく空白のマスに止まった。


『選択せよ。

① 秘書になり、給料五百万ドルを得る

② 看護師になり、給料百万ドルと夜勤手当六百万ドルを得る』


ナナミは画面を見つめ、眉をひそめる。


「働かないって決めてたのに……でも、お金には勝てなかったわ」


彼女は②を選んだ。


瞬間、ナナミも白衣姿になった。サナミと並ぶと、まるで病院の同僚のようだった。


サナミが微笑む。


「お揃いですね」


ナナミは少し照れくさそうに視線をそらしながらも、口元を緩めた。


「なんか、運命共同体って感じだね」


大河内幹也――ミキヤの車は、警察署のマスに止まった。


『連続殺人犯を逮捕。懸賞金十万ドル獲得』


「俺、こういうの向いてんのかな」


警察官の制服へ変わったミキヤは、胸元のバッジに手を当てた。仮想世界とはいえ、人を守り、悪を捕まえるという体験は、彼の中に眠っていた正義感を静かに呼び起こした。


「悪くねぇな……こういうの」


最後に結城優騎矢――ユキヤがルーレットを回す。


彼は誰よりも冷静だった。周囲が大金や職業に一喜一憂しても、表情を大きく変えない。


「冷静に行こう。これは“リアル”でも、“ゲーム”でもある」


ユキヤは、この仮想世界が単なる遊びではなく、自分たちの本当の人生に影響を与えるものだと、どこかで確信していた。


ゲームは進んだ。


ミヨリは資産を増やし、誰よりも早く盤面を進んだ。コジロは安定を選びながらも、自分の将来について考えるようになった。サナミとナナミは看護師として命と向き合い、ミキヤは警察官として人を守る意味を知り、ユキヤはゲームの構造そのものを分析し続けた。


やがて、ミヨリの赤い車が最後のマスへ到達した。


『GOAL』


空に花火が上がり、ナツミの声が響く。


《おめでとうございます。ミヨリさん。あなたが勝者です》


ミヨリの目の前に、現実の現金三百万円が入った黒いケースが置かれた。


「これ……夢じゃないよね?」


ミヨリは震える手で札束に触れた。紙の感触、重さ、匂い。どれも本物だった。


ゲームは終わった。


そう思っていた。


しかし、帰還した翌日から、六人の人生は少しずつ変わり始めた。


サナミは自宅で目を覚まし、無意識にスマホを開いていた。


検索履歴には、「看護専門学校」「看護師 資格」「夜勤 手当 現実」という文字が並んでいる。


「たかがゲーム……されど、夢じゃなかった」


あの白衣姿の自分が、どうしても忘れられなかった。誰かの命を支える自分。誰かに必要とされる自分。それは、今までの彼女が見ないふりをしていた未来だった。


「私……本当に目指してみようかな」


コジロは、ハローワークの前に立っていた。


「会社勤めなんてダセぇって思ってたけどよ……」


ゲームの中で選んだ“普通”の道が、妙に心に残っていた。地味で、責任があり、楽ではない。けれど、逃げ続ける人生よりは、ずっと前へ進んでいる気がした。


「勝者じゃなかったけど、俺……やり直してみっか」


ナナミは、自分の部屋で白衣姿の記憶を思い返していた。


人に頼られること。ありがとうと言われること。誰かのために必死になること。


「なんか……こんな自分も悪くないって、思っちゃった」


人付き合いが苦手で、誰かと深く関わることを避けてきた彼女が、初めて自分以外の誰かの人生に関わることを、少しだけ怖くないと思えた。


ミキヤは、警察学校のパンフレットを見つめていた。


だが、彼の胸には違和感があった。


「……なんで、あの犯人の顔が、現実で見たことある気がしたんやろ」


ゲームの中で逮捕した連続殺人犯。その顔が、現実世界で以前見かけた不審な男と一致している気がした。


「ただのゲーム……じゃないよな」


ユキヤは、ノートにびっしりと情報を書き込んでいた。


仮想通貨。記憶への干渉。人格変化。勝者特典。開発者ナツミ。招待状。


「全員が“何かを得た”ゲーム。それって、ただのエンタメじゃない」


彼はペンを置き、低く呟いた。


「これは……社会実験か、洗脳か」


数週間後。


五人のもとに、一通の封筒が届いた。


差出人は《MIYORI》。


中には短い手紙と、一枚のチケットが入っていた。


『次は“本当の人生”を選ぶ番だよ。

あの時のゴールは、ただの入口だったから』


チケットには、こう書かれていた。


『REAL人生GAME《次元突破編》』


その夜、都内某所のカフェに、六人は再び集まった。


ミヨリは窓際の席で、すでに待っていた。


「来てくれて嬉しい。今日は、“あの後”の話をしたくて」


ナナミが不安そうに言う。


「あの後? この前ので終わりじゃなかったの?」


コジロも眉をひそめた。


「何が始まるんだよ。まさかまた……」


ミヨリは静かに一枚のチラシをテーブルに置いた。


『REAL人生GAME《次元突破編》

今度は、“他人の人生”をプレイしていただきます』


ユキヤの目が鋭くなる。


「他人の人生って……どういう意味だ?」


ミキヤが声を荒げる。


「いや、マジで。次元を超えるって、何なんや」


サナミも不安げに尋ねた。


「これ、またあのVRを使うんですか?」


ミヨリは首を横に振った。


「いいえ。今度は“記憶と感情”を直接ダウンロードするらしいの」


その言葉に、空気が凍った。


「私、次のフェーズに進むことを決めた」


コジロが思わず言った。


「なんでそんな簡単に決められるんだよ?」


ミヨリは少しだけ笑った。


「簡単じゃないよ。でも、あのゲームで分かったの。ゲームだけど、リアルで、リアル以上に自分が見える。私は、もう少し知りたい」


その時、店内のテレビにノイズが走った。


映像が乱れ、やがて一人の女性が映し出される。


天堂夏深――ナツミだった。


《皆さん、こんにちは。またお会いできて嬉しいです。私は開発者のナツミ。REAL人生GAME《次元突破編》への招待を、ここに正式に開始します》


六人のスマホが同時に震えた。


画面には、同じ通知が表示されている。


『次元突破編へアクセスしますか?

YES/NO』


ミヨリは迷わなかった。


「押さなくてもいい。けど――私は押すよ」


彼女の指が、YESをタップする。


瞬間、白い光がミヨリの体を包んだ。


「ちょ、ミヨリ!」


ナナミが叫んだ時には、ミヨリの姿はカフェから消えていた。


ミヨリが次に目を覚ました時、そこは戦火の中だった。


燃える家。泣き叫ぶ子どもたち。遠くで響く爆発音。焦げた匂い。砂埃。乾いた喉。


「……私じゃない……誰かの……?」


彼女は幼い少女“リナ”として目を覚ましていた。


リナは戦火の村で、弟を連れて逃げていた。足は痛み、喉は枯れ、心は恐怖でいっぱいだった。だが、ミヨリはその恐怖が自分自身のものではないと分かりながらも、無視できなかった。


「これ……本当にゲームなの?」


そう思わなければ、心が壊れそうだった。


でも、目の前の涙も痛みも、あまりにも本物だった。


一方、ナナミもまた転送されていた。


気がつくと、彼女は古びた和室にいた。ふすまの外から風鈴の音が聞こえ、壁には昭和のカレンダーが掛かっている。


鏡を見た瞬間、ナナミは息を呑んだ。


「……私、おばあちゃんになってる……?」


彼女は“ナツエ”という八十代の女性になっていた。手元には、震える手で綴られた一通の手紙。


『終末期医療への移行を了承いただきありがとうございました』


家族。病気。別れ。諦め。


知らないはずの記憶が、胸の奥に流れ込んでくる。


数日後、若い女性が見舞いに来た。


「おばあちゃん……わかる? 私、サクラだよ」


ナナミは咄嗟にその名前を呼んだ。


「……サクラ……来てくれたんだね」


涙があふれた。


それはナナミ自身の涙ではない。ナツエという女性が、長い人生の果てに孫へ向けた愛だった。


サクラは笑いながら、泣いていた。


「あのね、私、あなたの夢を叶えたの。看護師になったよ」


ナナミの胸に、静かで深い感動が押し寄せる。


誰かの人生を生きるということは、こんなにも重く、尊く、切ない。


「こっちこそ……ありがとう……」


その言葉と同時に、世界が白く崩れた。


ユキヤは乾いた大地の上に立っていた。


瓦礫。銃声。焼けた空。


自分の姿を見下ろすと、身体は十歳ほどの少年になっていた。ボロボロの軍服。右手には銃。左腕には番号の刻まれたバンド。


「……子ども?」


少年の名前はレオン。


親を失い、組織に拾われ、戦う子どもとして育てられた少年だった。


目の前に、小さな女の子がしがみついてくる。


「お兄ちゃん……怖いよ……お腹すいたよ……」


ティアナ。


レオンの妹。


ユキヤは唇を噛んだ。


「これはただのゲームだろ……?」


だが、ティアナの震えは本物だった。握る手の温度も、涙の重さも、現実と変わらない。


数日後、隠れ家が見つかった。


表示された選択肢は三つ。


『① 自分だけ逃げて生き延びる

② 妹と逃げる

③ 妹を逃がし、自分は囮になる』


ユキヤは迷わなかった。


「俺は、お前を生かすためにここにいたんだろ?」


彼は③を選んだ。


銃声の中、ユキヤは叫んだ。


「ティアナ! 走れ! 生きろッ!」


そして、世界は白く崩れた。


コジロが目を覚ましたのは、静かな音楽ホールだった。


赤いカーテン。古びた木の床。中央には一台のグランドピアノ。


彼は黒い燕尾服を着ていた。


『あなたは天才ピアニスト・橘コウジ。四年前、突然姿を消した』


記憶が流れ込んでくる。


橘コウジは、かつて世界に愛されたピアニストだった。だが事故で右手の神経を失い、以前のようには弾けなくなった。


「つまり……これが、“音楽を捨てた男”の人生か……」


最後の舞台の日。


満員の観客が見守る中、コジロの前に選択肢が現れた。


『① 右手を使わず片手で弾ききる

② ゴースト演奏を使い、過去の音源を再生する

③ 舞台から降りて引退宣言する』


コジロは静かにピアノの前に座った。


「俺が選ぶべき音は……」


彼は①を選んだ。


完璧ではない。指は震え、音は途切れた。それでも、その演奏は偽物ではなかった。


観客席には、涙を流す人々がいた。


「これが、あいつが奏でたかった“音”か」


白い光が舞台を包んだ。


サナミが体験した人生は、救急病棟の一夜だった。


彼女は若い看護師“遥香”として目を覚ました。夜勤中、救急搬送されてくる患者。泣き崩れる家族。医師の指示。限界寸前の同僚。


助けられる命と、助けられない命。


表示された選択肢は残酷だった。


『① 一人の重症患者に集中する

② 多くの軽症患者を優先する

③ 家族への説明を優先し、現場対応を遅らせる』


サナミは震えた。


どれを選んでも、誰かが傷つく。


けれど彼女は逃げなかった。


「全部、向き合います。私は……命を数字で選びたくない」


その瞬間、選択肢が消えた。


代わりに表示されたのは、


『答えは一つではない。限界の中で、それでも手を伸ばす者を看護師と呼ぶ』


サナミは涙を流しながら、夜明けまで走り続けた。


ミキヤは、廃墟のような都市に立っていた。


かつて正義の象徴だった警察署には、「腐敗」「堕落」と書かれた落書きがある。


背後から声がした。


「なあ、お前はまだ“正義”を信じてるのか?」


振り返ると、そこには親友アキトがいた。


過去の事件で命を落とした、ミキヤの親友。


「俺を見殺しにしてまで守った正義って……何だった?」


ミキヤの前に選択肢が現れた。


『① 正義を貫く

② 復讐に手を染める』


ミキヤは震える拳を握った。


「くそ……俺は……」


復讐したい気持ちはあった。


許せない相手もいた。


自分を責め続けた夜もあった。


だが、彼は①を選んだ。


「復讐じゃない。俺が貫きたいのは、“守ること”なんだ」


アキトは静かに笑った。


「……そうか。お前は、そういうヤツだもんな。ありがとな」


廃墟の街に、光が差した。


最後にユキヤは、もう一つの人生へ転送された。


白い部屋。


紙で作られたような街。


そして、自分と瓜二つの“コピー・ユキヤ”。


コピーは問いかける。


「なあ、お前って、何のために生きてると思う?」


ユキヤは答えられなかった。


幼い頃から、しっかり者、優等生、頼れる人間と言われ続けてきた。誰かの期待に応え、誰にも迷惑をかけず、失敗しないように生きてきた。


だが、それは本当に自分の人生だったのか。


選択肢が現れる。


『① 他人の理想を叶える道

② 自分の本音に従い、夢を追う道』


ユキヤは、長い沈黙の末に②を選んだ。


すると、紙の街に色が戻った。


手元には、小さなギターと、制作途中の曲が書かれたノートがあった。


「これが……俺のやりたいこと……歌を作ることだったんだ」


すべての人生体験が完了した時、六人は白く光る空間に集められた。


目の前には巨大な扉。


ナツミの声が響く。


《これが最後の試練です。選ばれし者のみが現実へ帰還できます》


ミヨリ、ナナミ、サナミ、ミキヤ、コジロ、ユキヤ。


六人は互いの顔を見た。


誰も以前と同じではなかった。


他人の人生を生きたことで、自分の人生の重さを知った。誰かの涙を受け取ったことで、自分の選択の意味を知った。


扉が開く。


まばゆい光の中に、ナツミの姿が浮かんでいた。


「あなたたちは、この試練を乗り越えました」


ナツミは静かに言った。


「現実と仮想の境界で、自分の“本当の人生”と向き合う勇気を持ったのです」


ミヨリが前に出る。


「このゲームで得たものは、お金じゃない。自分の選択が未来を作ること。仲間と一緒に歩むことの大切さ。それを知ったんです」


ナツミは微笑んだ。


「その通りです。人生は、ゲームと同じく選択の連続。けれど、現実にはリセットボタンはありません。だからこそ、一つひとつの選択に意味がある」


光が六人を包む。


《あなたたちは、元の世界へ戻ります。ただし、ゲームの経験は消えません。“選択”を恐れず、進み続けてください》


六人は目を閉じた。


次に目を開けた時、彼らは見慣れた現実の部屋にいた。


サナミが息を吐く。


「無事に戻った……けど、不思議な気持ちですね」


ユキヤは静かに頷いた。


「これで終わりじゃない。これからが本当の人生だ」


コジロは自分の手を見つめた。


「たとえどんな選択でも、後悔しないように生きたいな」


ナナミは小さく笑った。


「私は、この経験を誰かのために活かしたい」


ミキヤは胸に手を当てた。


「俺は、あいつのためにも、正義を貫く」


ミヨリは五人を見回し、明るく言った。


「みんな、これからも一緒に歩もう」


六人は頷き合った。


その時、全員のスマホが同時に震えた。


画面には、一つのメッセージ。


『REAL人生GAME《次元突破編》クリア

選択者たちよ、現実の人生を開始してください』


そして、その下に小さな文字が表示された。


『また、人生の分岐点でお会いしましょう』


六人は顔を見合わせた。


不安はあった。


けれど、もう以前のように怯えるだけではなかった。


彼らは知っていた。


人生は、ルーレットのように思い通りには止まらない。


それでも、どのマスに止まっても、そこから何を選ぶかは自分次第なのだと。


ミヨリは空を見上げた。


「さあ、次は現実の人生ゲームだね」


風が吹いた。


その風は、どこか仮想世界の盤面で揺れていた旗の音に似ていた。


六人は、それぞれの道へ歩き出す。


もう一つの人生ではなく、たった一つの自分の人生を生きるために。


【終】


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