第71章:人生最後のクラス会(35):2016年11月開催のクラス会当日(19)
「江面くん、大学の『客員教授』になったんだって・・・?」
「あ・・・そういえば、みんな知ってる?? 館脇さんと飯田君・・・最近、結婚したらしいよ。」
「え! マジか!!」
「針生のヤロイー、地震の専門家になったんだってな。」
「大島はさ・・・聞いたハナシでは、どこぞの原発で働いてるらしいぜ。」
「恭子ちゃんって、薬剤師なんでしょ? じゃあ、給料もすごいんじゃない・・・? うらやましす♪」
そんな会話も、洋室から漏れてくる。
ぼくがいまいるのは、
狭い、和室のほうだ。
3:2、くらいの割合でもって、
洋室と和室にわかれての、仲のいい「むかしばなし」、あるいは「現況報告」・・・など。
「でも、江面くんって・・・たしか、胃がんにかかっちゃったって聞いたけど。大丈夫だったの?」
「ああ。手術して切ったけど、それから再発はしてない。余命はわかんねぇけど、たぶん大丈夫なんじゃねーの?」
(江面くん・・・ぼくも、糖尿病っていう、やっかいな慢性疾患・・・持病を抱えているぜ。お互い、なるたけ、長生きしような・・・。)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「・・・しげおくん。」
洋室のほうから、みっちゃんが入ってきた。
「さっきの、しげおくんのスピーチ・・・あたし、とっても感動しちゃった・・・。」
「そういえば、みっちゃん。」
ここで、幹事の渡辺よしひさ君が、横槍を入れてきた。
「高校のとき、好きな人、いたんでしょ?」
「・・・え? う、うん。」
みっちゃんは、ぼくの隣に座って、
まるで、思春期の少女のように、恥ずかしそうにうつむいて、ほほを赤らめた。