表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/114

第6章:実際に、東大を訪れてみて(3)

 ・・・そのうちに、試験用紙が配られ、ふと僕の右隣の席に目をやると、


 例の「オタク男」が、あたりまえのように鎮座ちんざしていて、


 鋭い眼光をぼくに向けてきた。


 (・・・キミには負けないよ。ここまで、猛勉強を積んできたんだからね、ぼくは。ところでキミは、どのくらい勉強してきたんだい?)


 そう言いたげな、どこかほくそえむような笑みさえ浮かべている。


 ぼくは、すっかりヤツの自信たっぷりな態度とたたずまいに、ビビってしまっていた。


 ・・・それに加えて、ぼくには、残念ながら、この日のために、この国家試験の合格に見合うだけの勉強を積んだ記憶が、ほぼほぼなかったので、


 最初からカブトを脱いでいたのである。


 事前に、書店の「国家Ⅰ種」の模擬試験の問題集などで、その難易度は、嫌というほど理解していたからだ。


 実際、いざ、試験が始まると、


 ものの1分もしないうちに、ぼくはすでに「敗北」を認めていた。


 (いやー・・・冗談じゃねぇわ、コレ。模擬試験の問題集の比じゃねぇ。合格以前のハナシじゃねぇのか、コレってよ・・・。)


 一次試験の合格発表は、もちろん見に行かなかった。


 行かなくたって、そんな結果なんぞ、ぼく本人がいちばんわかっていたからだ。


 「不合格」。


 例の、イヤミなオタッキー野郎が、その後、この試験に受かったかどうかまでは・・・


 ぼくの知る限りではない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ