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第68章:人生最後のクラス会(32):2016年11月開催のクラス会当日(16)

 「・・・ここで、お集まりの皆さんに、ご報告がございます。」


 (おおっとぉ! ここでやっとこさ、しげちゃんの『あのハナシ』が聞けるんだね・・・わくわく♪ ワクワク♪♪)


 わが愛すべき『聴衆(?)』は、


 ソワソワして、おまけに貧乏ゆすりまでして・・・


 まるで、「おあずけ」を食ったワンちゃんみたいであった。


 「ぼくは・・・」


 ・・・ゴクリ。


 つばを呑み込む音まで、聞こえてきそう(苦笑)。


 「今度、東京大学を受験することになりました。」


 一部、「ガクン」と前のめりにずっこける御仁ごじんも。


 おそらく、ぼくが過去に犯した「あのハレンチ事件」の件についての告白なり、ご報告・・・さらには、懺悔ざんげの言葉・・・といったものを期待していたのかもしれぬ。


 ザンネンでしたぁ。


 そんなつまらんハナシをしに、このしげちゃまが、


 わざわざ、那須町のサンバレー・・・嫌な思い出しか渦巻いておらぬ、かの大地組んでまで、


 のこのこと、おもむくワケがないでしょ(笑)。


 ・・・ぼくは、それをちらりと確認すると、


 微笑して一呼吸置き・・・言葉を続ける。


 「ぼくは、現役時代、大学受験に失敗し・・・ずっと、くやしい思いをしてきました。自分の不徳ふとくのいたすところとはいえ・・・なんとか、その過去の汚名おめいをすすぎ、名誉挽回めいよばんかいしたいと、ずっと考えておりました。」


 ここでぼくは、


 恩師の藤田先生に視線を移した。


 先生は、受験の話になると、


 ぼくと目を合わさないように視線をはずし、うつむいたまま、話に聞き入っておいでだ。


 「・・・ちなみに、まだまだ勉強は、道半みちなかば・・・といったところです。東大の二次試験はおろか、センター試験も受けてはいない状態・段階です。しかしながら、現役のころに、大の苦手だった、数学も・・・」


 ここに来て、「数学」という単語を耳にした藤田先生が、ぼくに視線を戻した。


 「かなり、『イイ感じ』に仕上がってきています。」


 「・・・ほんとかい?」


 先生が、軽く「ツッコミ」を入れてきた。


 現役時代、


 どうしても高校数学についてゆけず、ボロボロのガタガタだったぼくが、後年の再学習&自己学習で、すんなり・あっさり・やすやすと克服し、そして乗り越えられるほど、数学が甘い学問ではない、ということを、じゅうじゅうわかっておいでだったのだろう。


 ・・・なんたって、「数学のプロ」だもんな、先生は。


 ぼくは、彼に微笑みを送ると、さらに続ける。


 「いずれは、東大の最高峰・・・『理科Ⅲ類』・・・医学部にチャレンジします! かならず勝ちます!!」


 ・・・誰もわらう者はいない。


 さきほど、軽い「ツッコミ」を入れてきた藤田先生も、


 いまだ「半信半疑」なご様子ながらも、真剣な顔で、ぼくの話に耳を傾けてくださっている。


 (・・・矢板東高校時代、放課後に『面接』と称する、進路指導の個人面談で、先生と相対あいたいして、バチバチと無言の「憎しみの火花ひばな」を投げ合っていた、あのころのぼくは、もうどこにもいない。・・・こうして、威風堂々(いふうどうどう)と、見事に『カムバック』したんだ! あの「ジョージ・フォアマン」のように。かならず合格して、タイトル奪還して・・・いや、この場合、「奪取して」が正確なのかな? もともとぼくが持ってた『チャンピオンベルト』でもないからね。みんなの・・・そして、なによりも、藤田先生のハナを明かしてやるんだ。今度こそなッ!!)

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