第5章:実際に、東大を訪れてみて(2)
このときぼくは、栃木県農業大学校の研究科2年の学生で、卒業する年度だった。
ぼくが21歳のときである。
受験教室に入って、席に座ろうとすると・・・
いきなり、他の受験生から注意された。
「キミキミ。そこはぼくの席。キミの受験番号が何番かは知らないけど、ちゃんと受験票見たの、キミは??」
メガネをかけた、小太りの男。
ぼくよりも年齢は老けて見えた。
ぼさぼさの髪で、清潔なイメージなんか、どこにもない。
・・・いわゆる、「オタク」って印象だな。
「あ・・・すみません。間違えちゃって・・・。」
「ちゃんとしてくださいよ、ここで国家Ⅰ種受けるんでしょ、キミだって。」
「はぁ・・・。」
(・・・俺、なんでこんなダサいヤツに謝ってんだ!?)
ぼくは、脳内に「ハテナマーク」が点滅してはいたものの、こいつが、かなり勉強を積んで、今日の試験に臨んできているのだけはハッキリと感じられたので、ヤツの、その独特の「オーラ」に圧倒されてしまっていたのだろう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
・・・ぼくの他にも、農業大学校のクラスメートが数人、東大内で、別の試験会場の教室に入っているはずだが、
その誰とも、今日は会ってない。
まぁ・・・
あんまり普段から仲が良かったわけでもなかったから、連れ立ってわざわざいっしょにここへも来なかったぼくだしな。




