第50章:人生最後のクラス会(14):結ばれなかった恋人候補(2)・・・深沢見知子ちゃん(その4)
・・・フォアマンは、
1973年に、ジャマイカの首都キングストンで、ジョー・フレージャーを2RKOで仕留め、
新たなヘビー級チャンピオンとなった。
「象をも倒す鉄人パンチ」といわしめた豪腕で、
1970年代の一時代を築いた名チャンピオンだった。
・・・そんな彼が、アフリカ、ザイールの首都キンシャサで、モハメッド・アリに8RKOで、まさかの逆転負け。
引退し、ボクシングから身を引いていた彼が、
カネのため、1987年にカムバック。
ちょうど、復帰8戦目あたりで、ようやく、そんな彼の試合が、TV東京で放送されたのだった。
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「ジョージ・フォアアンVSドワイト・ムハマド・カウイ」の、ヘビー級10回戦。
・・・1988年3月。
春休みに放送されたこの試合を、ぼくは録画して、
アナがあくほど、繰り返し繰り返し観た。
小説よりも、映画よりも、さらにはマイク・タイソンよりも・・・ぼくを励まし、勇気づけてくれたのが、
フォアマンの、一連の「カムバック劇」であった。
ぼくは、
3年6組の教室に入室するときには・・・
かならず、当時のフォアマンがやっていたような表情と動きで、悠然と、厳しい試合が待つリングへとおもむくような心境の、意味ありげな「上目遣い」で、まっすぐ前をにらみつけながら、毎回教室に入っていた。
・・・その様子を、熱い視線でじっと見つめていたのが、
みっちゃんご本人だったのである。
(・・・しげおくん、ちかごろどうしたのかしら。なにか、自信に満ちあふれている、堂々とした、その態度。いったい、何があったの・・・?)
そう言いたげな、
うるんだ瞳とまなざしだった。