第4章:実際に、東大を訪れてみて(1)
・・・実は、ぼくはこれまで、
東京大学をニ度、実際に訪れている。
1992年と2016年だ。
初めてこの地を踏んだのが、国家Ⅰ種・・・つまり、国家公務員の最高峰のカテゴリーの試験を受けたときだった。
この公務員試験に合格すれば、晴れて、東京の霞ヶ関にある農林水産省などで、正規の職員として働くことができる。
・・・たしか、一次試験が、1992年の秋口あたりだったか。
初めて東大の門をくぐったぼくであったが、
JRと地下鉄を延々と田舎の矢板市から乗り継ぎ、さらに、東大の本郷キャンパスまでエッチラオッチラ歩いてきたぼくは、ほとほと疲れていた。
体重が、減量時よりも10Kgは増えて、また太り出してきた時期でもあったので、なおさらだった。
皆さんもよくご存じかとは思うのであるが・・・
東京の地下鉄というものは、
駅にもよるが、ときには、まるまる「ひと駅分」歩かされることさえある。
エスカレーターが人でいっぱいで、仕方なく、面倒でも階段を使うハメになったことも。
そんな状態だったのに加えて、
受験生がけっこういて、ザワついて落ち着かなかったということもあり、東大の風景を楽しむ余裕なんか、その日のぼくにはなかったのだ。