第21章:本当に楽しかった、参考書コレクションの日々(4):【超重要!】東大入試における「合格最低点」の真実
大学受験に挑む生徒や浪人生・再受験生の皆さんは、アタリマエのようにご存じであろうが、
過去問のスタンダードとして、各大学用に編纂された、
いわゆる『赤本』というものがある。
「教学社」という出版社の書籍なのだが、その名のとおり、真っ赤なペーパーバック式のもので、
東大の場合、「文科(= 文系)」「理科(= 理系)」の2種類に分かれて販売されている。
・・・メッチャ、ぶ厚い本。
昔の電話帳やタウンページよりも厚い。
もちろんここには、
東大受験のために必要な手続きなり、受験資格や当日、受験会場に持参するものまで、こと細かく書いてはあるのだが・・・なかなか、「全体像」というものがつかみにくいのが欠点だ。
ぼくらのころには、あまり掲載されていなかった「出題傾向」「傾斜配点」みたいな記述もあるし、けっして悪い受験情報誌ではない。
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・・・精神科医に、「和田秀樹」という名医がいる。
彼は、現役時代、東大の理科Ⅲ類・・・すなわち、のちの医学部に相当する最難関の狭き門に、見事、現役で合格した、秀才中の秀才である。
私立の名門、『灘高等学校』のご出身でもある。
そんな和田先生は、実は・・・
大学受験の「研究家」「受験相談の大家」という側面ももっておられる。
名著、『数学は暗記だ!』で、世間様のドギモを抜き、高校数学が、
実は、実質「暗記数学」になっている事実・実態を指摘され、さまざまなバッシングや反対意見にさらされながらも、
その詳しいいきさつや本質・流れというものまで、読者にわかりやすく解説されている。
「オレも、現役時代、その事実を知っておれば、なにも自己流の解き方に固執せず、素直に暗記数学やって、もうちょっとはマシな高校生活になってたはずなのに・・・。」
まぁ、
いまさらボヤいたところで、なにも始まらない。
とにかく、結果はどうなるか知らんが、やってみるしかなかろう。
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・・・昔の東大受験は、ずっと「藪の中」という感じであった。
万年、「暗闇」に閉ざされていた。
疑いようもない事実である。
説明しましょうかね、ソレがどういうことなのか、をね。
ひとことでいえば、こうなります。
「合格のためには、いったい、最低限、何点取れればいいのか!?」
いいかえれば、
「総合得点での合格最低点って、いかほどのものよ??」
ということ。
そういった一番大切な「情報の開示」を、なぜか東大は、意固地なほど、かたくなまでに拒み続けてきた。
つまりね・・・
一般人・民間人のわれわれには、東大の「本当の受験時の難易度」の、
数値化された具体的な実態というものが、まったく把握できず・・・
いうなればこれは、
まるで「幽霊」か「お化け」でも見るように、正体不明の不気味なものを、なすすべもなく、ただ遠巻きに、遠慮がちにおそれおののいて見てきた・・・そういうことなのだ。
・・・ここが、皆さん。
実は、もっとも重要なところ。
仮に、校外模擬試験に、めっぽう強い生徒がいたとしよう。
でもカレは、学校の定期試験対策というものを重視しておらず、大学の受験対策ばっかしやっておったので、学校での順位は、いっこうにふるわない。
・・・だが実力的には、東大の「合格最低点」を楽々、クリアしている生徒。
しかしながら、もし、そんなカレが、
「合格最低点」なるものの存在を、まるで知らなかったとしたら・・・!
・・・まったくの悲劇としか言いようがない。
東大受ければ余裕しゃくしゃく・楽勝で受かっちゃうというのに、ふだんの学校の定期試験の成績が悪いものだから、
学校側が、頑として東大を受けさせてくれない・・・こんな、お気の毒なケースも、過去には実際に存在していたようである。
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ある時期から、急に東大は、それまでまとっていた「暗黒のベール」を脱ぎ捨てて、
理系・文系問わず・・・
すべての学部での「合格最低点」というものを、世間に公開しはじめた。
・・・すると、驚愕の事実も浮かび上がってきた。
文系で受験し、二次試験の数学を受ける際、
最悪、たとえ数学が「0点」であっても、他の科目で総合の「合格最低点」が取れ、他の得意科目で、数学で失点してしまった分を補充し、残りの得点が稼げれば、逆転合格がじゅうぶん可能だ、という重い事実であった。
(※)東大の二次試験では、理系であっても「現代文・古文・漢文」「英語」が、文系であっても「文系数学」というものが、受験必須科目として、全受験生に課されます。
なぜ、そんなことになっていたかというと、
東大の昔の数学の二次試験の問題が、
文系・理系ともに、トンデモネー難易度・難問の嵐だったからであります。
いまは、かなり難易度自体が下がってきているので、正直、文系受験生であっても、やはり、「数学0点」では、合格は厳しいと思います。
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(はぁ、やっとこさ、ここで本題に入ってくれたか・・・。)
前述の和田秀樹先生の著書に、こんな受験対策本・情報誌がある。
『新・受験技法―東大合格の極意』
毎年、出題傾向の変化に対応させるために、改訂版が出される、ベストセラーである。
ぼくも、当然購入して、研究した。
・・・わかりやすかった。
この本は、東大受験の情報をなかなか得ることのできない、地方の県立の普通高校や進学校の生徒にとっては、
まさしく「天からの贈り物」といった存在だった。
お堅い「赤本」の解説よりも、語り口調で書いてあるので、すんなり頭にも入りやすいし、
値段も、1000円前後と、お手ごろ。
「逆転合格のための、和田秀樹式カリキュラム」が満載である♪
前章で紹介したような、名門校の「受験のツワモノたち」には、きっと、この本は必要ないだろう。
・・・学校が、じゅうぶん、「受験対策」を自動的に与えてくれて、懇切丁寧に、アッチからやってくれるんだからね。
ありがたや、ありがたや・・・。
あとは、受験生当人のがんばりと、家庭の協力しだいとなりますな。
だから、世間の親御さんは、
こぞって、こういった「名門校」に、なんとしてでも、なにがなんでも、自分の子供を入学させたい、というわけ♪