第20章:本当に楽しかった、参考書コレクションの日々(3)
・・・ぼくの母校、栃木県立矢板東高等学校では、
令和6年現在でも、いまだに、
東大合格者は、ゼロ。
ひとりも出ていない。
しかしながら、2009年には、京都大学の理系学部の合格者が、2名誕生している。
多分に、いわゆる「自称進学校」の要素も、いまだにつきまとう、
システム的にも問題が多い母校なのだが・・・
なんのかんのいいながら、けっこう日本のトップクラスの大学の合格者も、少ないながらも存在していた。
早稲田大学、東京理科大、上智大学・・・また、法政大学・青山学院大学・立教大学などのいわゆる「MARCH(= マーチ)」・・・そして、京大。
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日本の高校には、
毎年のように、東大合格者を大量に生産している学校がある。
たとえば、
兵庫県神戸市にある、私立の男子校・・・「灘高等学校」。
東京の「麻布高等学校」。
同じく東京の『開成高等学校』。
これまた東京の『武蔵高等学校』。
この東京の3校は、いずれも私立の中高一貫校で・・・
いわゆる、『御三家』と呼ばれる、名門の男子校である。
ちなみに、
麻布中学・高校は・・・
「自由な学校」の代名詞としても知られ、制服もなければ校則もないそうな。
あの菊川怜さんの出身高校で、私立の女子校の名門・・・「桜蔭学園」。
古くは、九州、鹿児島の「ラ・サール高等学校」など。
そういった名門学校では、
東大受験のための「独自のノウハウ」「教育システム」「合格カリキュラム」というものが確立されており・・・
順当に、なんの障害もなく高校生活や勉強に集中できれば、
東大進学できる確率も、格段に上がり、エリートコースまっしぐら・・・といった、素敵な波に乗ることができる。
しかしながら、
わが母校、矢板東高等学校には、残念ながら、東大合格するための「ノウハウ」というのが、ほぼほぼ存在しない。
・・・それは、カリキュラムの組み方にも問題があるからだ。
いまは修正されているのかもしれぬが、
とくに理科や社会において、
一度、進学コースを決定してしまうと、
「文転」あるいは「理転」した場合などは、
日本史が選択できなかったり、生物や地学が選べなかったりするという、「融通の利かなさ」があった。
・・・東大の二次試験では、
文系では、「社会2科目」が、
理系では「理科2科目」が必須となる。
東大の「理科Ⅰ類」(= 東大工学部)を受験しようとする場合、
ほとんどの生徒は、「物理」と「化学」を選択するものだ。
しかし、「東大理科Ⅱ類」(= 東大農学部・薬学部など)の受験生は、「生物」と「化学」を選ぶ人も多い。
なお・・・
大学受験の最難関で、100名前後の少数精鋭の学生しか募集しない、おそらくは最も日本の学部で入るのが難しい「東大理科Ⅲ類」(= 東大医学部)の二次試験では、
「物理」「化学」を選択する人が、ほとんどだと聞く。
ところが、矢板東高校のカリキュラムでは、「生物」「化学」の組み合わせができないので、もし、この2科目で二次試験を受けたいのであれば、
たとえ現役受験生であっても、いきおい、不利な「独学」をしいられる、という「無情な流れ・イバラの道」となってしまうのだ・・・。
ただでさえ、
センター試験に対し、二次試験に、極端に比重なり重きが置かれる東大。
どちらか一方の科目でもコケてしまうと・・・合格への道が遠のいてしまう。
ほぼほぼカリキュラムがない「地学」はともかく、
ぼくの母校では、
こういった、東大の特殊な受験体制に対応できるだけの「素地」というものが、いまだ確立されていないのが、悲しいことに現状となっている。
情報自体も、さきに紹介した名門校と比較しても、極端に少なく、非常に不利である。
・・・ぼくは、大学入試に失敗した「負け犬」かもしれないが、
こういった「事実」「厳しい現実」というものは、現役の高校生のころから、熟知していた。
・・・そこで、次章でお話するような「東大受験情報マニュアル」というたぐいの本が、モノをいってくるのである。