第107章:総括(26):最初で最後の「センター試験」(その1):魔性の女(その1)
・・・こうした状況の中、
ついにぼくは、
あの「共通一次試験」以来、
実に、29年ぶりに、
大学受験に挑む。
・・・2018年1月のことである。
しかしながら・・・
「結果」はわかりきっていた。
誰よりも、このぼく本人が・・・ね。
神経痛が容赦なく襲いかかる中、
ぼくは、試験会場に入る。
・・・宇都宮市中心街の、大通りに面したビルのひとつに。
会場の外には、
「○○高校受験隊・・・全員合格!!」というような、派手で目立つ、ノボリや横断幕を手にした、
その学校の教職員とおぼしき人らが、
しきりに、ビルへ入る学生服の受験生たちにエールを送る。
「ぜったい受かれ!!」
「最後まであきらめんな!!」
(「あきらめんな」・・・か。ぼくには、あてはまらんようだな、この声援は。)
(残念ながら、ぼくは負けた。今回のセンター試験は、実は、最後の「記念受験」なのサ。秋口に申し込んでしまったから、受けるしかなかったんだよ・・・。)
激痛が続く中、
こうしてぼくは、自分の試験部屋の席を探す。
・・・目の前には、
ぼくと同じような、
「再受験生」とみられる、若い女性が。
目つきの悪い、
ちょっと「挑発的な視線」が特徴の・・・
油断ならぬ印象のレディだった。