序章 死にたがりの生まれ変わり
死にたい…。
私はいつも、そんなことを思っていた。
なんで私は生きているのだろう。
なんで私は産まれてきたのだろう。
それはきっと、全部神のせいだ。
神が私を選んだから…。
二千四年九月二十七日私は東京都から平凡な両親の下に産まれてきた平凡な女の子だった。
読み書きだってみんなと同じくらいに覚えたと思う。そこら辺はよく覚えてない。でも、きっと平凡だったはずだ。
そう…きっと…きっと…。
どこで道を踏み外してしまったのだろう。
どこでこの感情が生まれてしまったのだろう。
まぁ、考えても無駄か。
私は今、こんなことを思いながら自分が通っている大学に向かっている。
大学に向かうためには一つの交差点を通らなければならない。
それもこの交差点、赤から緑になるのは遅いのに緑から赤になるのは早い。
だから一回でも逃せば結構な時間待たされることになるのだ。
私は待たされるのが嫌でとにかく走る。今日も走る。
全速力で、まるでナイフを持った男性から逃げるみたいに。
よし!今日は、渡りきれる!
少しの喜びとともに私は交差点を走り抜けようとした。
キキィィィィ!!
車がブレーキを踏んだ音とともに私の目には一つの光景が広がった。目の前には……大型トラック。あと、数センチで私に激突するだろう。
ああ、やっと…。やっと、死ねる。
自殺はできなかった。何回もしようとしたのに、いつも誰かに邪魔されてしまう。
でも、今日で終わりだ、こんな人生。
「ばいばい、最悪な人生」
誰にも聞こえないであろう声で私が呟いた瞬間、ドンっ!という鈍い音とともに目の前が暗黒に包まれた。
「姫様!姫様!」
「…え?」
私は"目が覚めた"。
そう、目が覚めたのだ。
死んだはずなのに…。
「これは…どういうことなの…?」
此処はどこなんだろう。
私が横たわっていたものは、王宮にありそうな高価なベッドだった。
そして部屋には高価そうな椅子や机。薔薇の花瓶もあった。私の周りにあるものはすべて金や宝石などがつけられていた。
それにここは…。
「姫様!お目覚めになられたのですね!」
そこに1人のメイド服を着た女性が私に安堵の声を出した。
…え?姫様?
なにそれ。私、貴族とかではないはずなんだけど。
疑問を抱いたとき、ふと私はメイド服を着た女性の心配気な発言を無視して、自分が寝ていたベッドから飛び起き近くにあったいかにも高そうな姿見に自分の全身を写した。
するとそこには、とてもさらさらで光沢のある黒い髪に、まるでルビーのようにキラキラと輝く紅い目、白に近いきれいな肌の美少女が立っていた。
その美少女は、まるで信じられないという顔をしながら私を見ていた。
「…嘘。これ、私?」
私は信じられないと思いながらボソボソとそう呟いた。
「姫様?体調がまだよろしく無いのですか?いまから医師を呼んできますので、ベッドに入ってお休みになっていて下さいね」
そう言ってメイド服を着た女性は、出ていってしまった。
待って!?この姿見に写ってる人誰!?ここ何処!?
にしても、今さっきのメイドどこかで見たことがあるような気がする。
え、もしかしてだけど私ゲームの世界に……
「転生してる!?」
『狂ってる私は、皆の幸せな未来を願っても良いのだろうか』を数多くの物語から選んでくださり本当にありがとうございます。
この物語は他のアプリ「カクヨム」でも投稿させてもらっています。
これからも呼んでくだされば幸いです。