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夢の国から  作者: λ
7/12

7

 施設内に戻る頃にはアラームも鳴り止み、いつも通りの光景が広がっていた。


今までけたたましく鳴り響いていた警報音とは裏腹に、施設の人間は平然としている。俺が壁を越えて脱出し、再び戻ってきたことにも気が付いていない。


いやもしかしたら帰ってきたところは見られたかもしれないが、彼らには一切反応がなかった。そもそもこの施設の人間には、およそ人間味というものがないのだ。


先の脱走計画は失敗した。理由は分からない。しかし、この異常な施設から脱走する手段としては選択肢がもう一つある。前回は壁を越えることができたという記憶を頼りに今回も脱走を図ったが、この施設には他に脱走できる場所が存在することを俺は知っている。


いやむしろ、こちらがRPGでいうところの正規ルートなのだ。この施設の一角に存在する異様な空間、ゲームセンターにありそうな派手な機械が天井まで所狭しと積み重なり、迷路のような通路を形作っている部屋。


部屋というより大きな倉庫のようだが、機械が並んでできた道は複雑に曲がり、奥の様子が外からは確認できない。今まで俺は、ここに人が入っていくところを見たことは何度かあるが、人が出てくるのは一度も見たことがないのだ。


しかし、だからここが出口だ、と断定したわけではない。なぜか俺はここが確かに出口であることを知っている。根拠はないが、なぜかそう確信できる。知っている。ここから外へ出られるということ、そして、この先にも件の解毒剤があるということを。

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