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ただ、しばらく進んでから妙な置物が増えてきている。マネキン、というより色々なキャラクターをデフォルメしたような置物。
最初のうちは気にも留めなかったが、やはり不自然である。周りの景色は一貫性がないが、少なくともそれぞれ統一された世界観、のようなものがあった。
しかしこの置物はどこにでもある。周りの景色が変わっても、その置物はそれらで独立した世界観を放っているようだ。どの置物もデザインが違い、どの置物も何かをしているような体勢をしている。そして、・・・どの置物も出口を向いている。
瞬間、足が重くなる。セメントがこびりついたように足が重く、動かしずらい。周囲を警戒するのに必死で忘れていたカナリヤに目を向けるも、いない。ここまでくれば、彼がどうなったかなど確認するまでもない。
早く、解毒剤を、見つけなければ。いや、一度戻るべきか。前回も同様の失敗をしたのなら、引き返せば間に合うかもしれない。いや、無理にでも解毒剤だけは回収すべきだ。
いや、・・・いや・・・。
・・・思考がまとまらない。腕も思うように動かせない。重くなっていく足にふらつく。戻るべきだ。このままでは何をすることもできなくなってしまう。戻ろう。
その時、振り返る腕を何かが引き留めた。