厨二病美少女の日莉さん
まあ、今ではどこの学校にでも厨二病の人がいてそれが大人になっても治らないとなると問題だけど見てる分には楽しいんだよね、あれ。
私の身近にもそんな人がいて、その人がとてつもなく美少女だよって話。名前は小柴 日莉さん。純日本人なのにフランス人形みたいな可愛らしい顔。髪色も明るくて、猫毛みたいにふわふわしてる。肌も透き通るように白い。第一印象は病弱って感じ。可愛い。
私は日莉さんと仲が良いから彼女が厨二病だと知ってるけど、普段は隠してる。ゴスロリとか着て堂々と厨二病やってても絵になると思うんだけどね。世間が許さない。
私は好きだよ、厨二病少女。だってさ
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「私さ、思うのよね」
日莉さんを家に招いたときだった。突然彼女が呟いた。
「何を?」
「人間に平等に与えられるのは時間じゃないわ。睡眠時間だって各々異なるし、死ぬまでの時間だって違うじゃない」
何か語りだしたな、って思ったら黙ってうなずいて聞く。いつも通り最後まで聞くの。
「私はね、死こそ真に人間が平等に与えられたものだと思うわ。そうじゃない。何があっても一度だけなのよ」
俯き気味に少し赤い目を微笑ませて日莉さんは楽しそうだった。
「誰でも一回は死ぬわ。二回も死ぬ人なんていないでしょう? だから私は決めたのよ」
楽しそうだなぁ。こういう彼女を見るのが本当に好き。
「私はね、その一回だけの死をどう彩るかに時間を使うわ。時間は手段に過ぎないの。どう生きるかはどう死ぬかよ。……貴女はどう思う?」
私に話を振られても……。まあ、日莉さんが楽しそうだから何よりかな。
「うーん。学校では言わない方がいいよ」
「やっぱり? じゃあ言わないわ」
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なんていう会話があるくらいだもん。厨二病を隠したいから仲のいい人に話したいことを発散してくれる。厨二病の友達って好きだなぁ。基本いい子だし。可愛いし。私が男だったら間違いなく既に十回くらい告白しそう。
日莉さんが美少女だから厨二病でも良いって思えるのかな。ま、それも良いか。
ところで……日莉さんの話を聞いて、それもあるのかなって思ってしまった私も厨二病なのかな。
日莉さんがどう生きてどう死ぬのかも私には関係ないけど、一回くらいはゴスロリ着て私好みの厨二病少女みたいになってほしいな。
私は日莉さんに『ファンタジーな世界のアンティークみたいな少女』になってほしい。これも日莉さんには関係ないけど。
あ、これフィクションですからね。
こんな友人いたら退屈しないでしょうね。語り手が羨ましい。妬ましい。