第2回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞 への投稿作品
女神に転生した聖女
女神に転生した大正生まれの聖女しかこ。
異世界は、何処も似たような窮状だった。
聖女が、人々を救うのに対して、女神が、異世界を救うことの難しさを少しわかりかけてきた しかこ。
しかこは、救世主を求めて帰ってきた来たけれど、
平成元年になってすっかり平和ぼけしている社会に戸惑っていた。
しかこ『そこに居るのは、ゆいこなの?』
ゆいこ『女神様ですか?』『私は、ゆいこですけど、、、』
しかこ『私が、わからないの?』
ゆいこ『女神様に話しかけられたのは、初めてなもので、、、』
しょんぼりしている女神
ゆいこ『ところで、どのような御用なのでしょうか?』
もしかしたら、ゆいこは、しかこの記憶が失なわれているのかも?
と思った しかこ
しかこ『見たところ昭和生まれの聖女でしょ。』
『長かった昭和の時代の聖女、お務め御苦労様です』
ゆいこは、女神様のねぎらいの言葉に、はにかんだ。
しかこ『よかったら、昭和がどんな時代だったのか話してもらえるかしら?』
ゆいこは、嬉々として大正生まれの聖女しかこと過ごした日々を語り始めた。
しかこの顔が段々赤くなっていった。
ゆいこ『女神様?どうかされましたか?お顔が赤いような?』
その時、通りすがりの男の子が、平地で、こてんとこけた。
聖女には、聞こえない女神の声で
しかこ『あなたは、どうするの?』
どこか懐かしさを感じながら、女神の優しさに包まれていった ゆいこ
ゆいこ『あらァ~( 〃▽〃)』『大丈夫かしら?』
男の子を優しく起こす ゆいこ。
ゆいこの優しさに癒されていく男の子
男の子は、泣き出すことなく
男の子『大丈夫』
男の子の後方から母親ひかるが走って来るのを見つつ
ゆいこ『そう♪』
と、呟いて、スッと姿を消すように翔んだ。
少し離れたところで、ゆいこの様子を見ながら
しかこ『あの頃は、助けた人と長々と話しこんでいたのになぁ~』
『どっちが助けられたのやらって感じだったのに(くすっ)』
『人々の行いに感傷的に干渉しないようになったのネ( 〃▽〃)』
『ゆいこに何かあったのかしらねぇ~』
ゆいこの聖女としての成長を感じる しかこだったが、平成の時代になって、早晩、聖女の世代交代の時期が来ることを憂慮していた。