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白龍伝説 ~知恵の塔~  作者: 鳥之羽
3/6

「人類種説明」獣人種


 ようこそ知恵の塔へ。みんな大好きエールベンだよ。今回は獣人種について語って行こう。


 この世界には所謂、人種以外の人類種も多く暮らしているんだ。


 人種や人類種は違うの?だって?うんうん。いい目の付け所だね。じゃあ、獣人種について語る前にそこから話していこうか。


 まず両手両足を持ち、文明を築くことの出来る生物を「人類種」というんだ。熊や猿なんかの動物は文明を築くことが出来ないから人類種には含まれないし、ゴブリンやオークはある程度の知能を持つけど、彼らは魔物であって生物ではない為、人類種ではないんだ。


 え?魔物は生物では無いの?だって?そこを話始めると長くなるんだけど・・・・。まぁ結論から言うとこの世界では()()()()()()()()()()()()()()()()()。これ以上の詳しいことはまた今度話そう。


 話を戻すよ。人類種というのはそういう大きい区分だから他の種族・・・獣人族、エルフ族、ドワーフ族などなども含まれてしまうんだ。その中でも特に何の特徴も無い種・・・つまりは地球人と同じ種族を「人種」というんだ。


 ま、厳密には地球人と「人種」は()()()()()()()()()()()()()。おっと、これ以上はしゃべっちゃ駄目みたいだ。悪いね。


 因みに「人類種」は多くの種類が存在しているよ。先ほども例をあげた獣人種、エルフ種、ドワーフ種以外にも龍人種、竜人種、鬼人種、巨人種、etc・・・まだまだたくさん存在しているよ。


 さらには同じ「人類種」であれば間に子供を儲けることができて、その場合、両親のどちらかの種族の特徴を色濃く引き継ぐか、ハーフとして生まれてきてしまう為、そうなるともう何がなにやらだね。


 複数の種族の特徴を持つ人類種のことは「混合(キメラ)種」と呼ばれて、正直あまり歓迎される存在ではないね。地域によってはあからさまに差別されている地域もあるくらいだ。


 まぁ、こちらの世界は道徳観については地球の中世レベルだから、こういう問題が起きるのは、ある意味必然とも言えるけどね。


 さぁ。人類種についてある程度は分かったところで今日の本題「獣人種」について話して行こうか。


 獣人種は、体の何処かに獣・・・とは実は限らないんだけど、動物の特徴を持つ人類種のことだね。一般的には獣の耳と尻尾が特徴なんだけど、鳥人族の翼のように少し違う形で特徴がでる者もいるんだ。


 先ほど獣とは限らないって言ったけど、これは獣人種の中には虫の特徴を持つものもいるからだ。虫の特徴を持つ者を「虫人種」として獣人種とは別の者だと言う人もいるけど、現状、彼らは獣人種のくくりに入っているんだ。


 じゃあ、おまちかね獣人種の「種族特性」について話そうか。


 え?「種族特性」とは何?だって?いや、そのまんまだよ?それぞれの種族の特性のことさ。利点も欠点も含めた、ね。


 ちなみに人種の種族特性は「多様性」とされているよ。種族としてはいいも悪いも無い。ただ、人種ほど弱者と強者の力に差がでる種族は珍しい。考え方も千差万別だ。その在り方としてどこまでも愚者にも賢者にもなれる。故に「多様性」。


 おっと余談だったかな。


 獣人種の種族特性は「身体能力特化」と言われているね。彼らは皆、強靭な体と鋭敏な感覚を持つ。勘も鋭い。代わりに魔術の類があまり得意では無い。一応、使えないというほどでも無いけど、生活レベルならともかく、実践レベルで魔術を使える者は珍しいね。あと、基本的にバカだね。これは例外も多くいるけど。


 当然、これらにはしっかりとした理由がある。人体の構造については、こちらの世界でも全てが解明された訳じゃないけど、ある程度は分かっているからね。


 まず、強靭な体について話そうか。というか、これは魔術が上手く使えない理由でもあるんだけど。


 獣人族は生まれ落ちた、その瞬間から無意識に身体強化魔術を行使していることが分かっているんだ。とはいっても、これ自体はとても弱いものだ。赤ん坊の時から、そんなに強力な魔術を体にかけたら負担になるからね。


 獣人族と人種の赤ん坊の力は、ほとんど同じくらいでしか無い、と言えば、その身体強化魔術の弱さが分かることだろう。


 しかし、例え少しでも生まれた時から体に負担をかけ続けた獣人種は人種に比べて成長した時少しだけ強靭な体になる。


 そして、少しでも体が丈夫になれば、無意識のうちに身体強化魔術のレベルをあげる。その負荷でまた身体が強くなって・・・・という繰り返しにより、獣人種特有の強靭な体が出来上がっていくんだ。


 まぁ、簡単に言えば、生まれてからひと時の休みも無く、筋トレしているようなものだと思ってくれていいと思うよ。そこに身体強化魔術が加わるんだ。人種よりも身体能力で優れているというのは当然だよね。


 因みにこの体質のため獣人種は年を取ればとるほど強くなるんだ。とは言っても獣人種の寿命は人種と同じだから、大体40歳くらいがピークになる。それ以上は身体能力の向上より衰えが上回る為、いくら獣人種でも力が落ちて行ってしまう。


 それでも平均的な人種の肉体のピークが20歳と考えれば十分長いと言えるだろう。


 もう一つ言うと、獣人種は年上を非常に敬う。これは先ほども言ったとおり獣人種は年を取れば取るほど強くなるためだ。獣人種の地位は基本的に年功序列だね。


 だが、この体質はデメリットもある。それは魔術が使えないということだ。


 身体強化魔術は魔術という以上、当然魔力を消費する。じゃあ、その魔力は何処から来ているのか、という話になる。


 答えは簡単。回復した先から消費しているのだ。獣人種を含む、この世界の生物は基本的に身体の中に魔力を貯める機能がある。空気中の魔素を吸収し、それを魔力に変換し、貯める。これがほぼ全ての生き物に備わっているサイクルだ。


 しかし、獣人種の多くは貯めたそばから自らの身体強化魔術に魔力を回しているんだ。結果、いつまでたっても魔力が溜まることがないのだ。


 当然、魔力が無ければ、魔術の行使は不可能だ。厳密には生命活動を行うための必要最小限の魔力があるにはあるが、それを使い魔術を行使すれば待っている運命は死、一直線だよね。


 これが、獣人種が魔術を使えない理由だね。これのせいで獣人種は魔力を消費するタイプの能力(スキル)固有能力(ユニークスキル)も使えないから、結構な欠点ではあるんだ。


 また、獣人種は基本的にバカだ。これは、別に獣人種のことを蔑んでいる訳じゃないよ。種族特性として当然のことなんだ。


 先ほど獣人種は感覚が鋭敏だと言ったよね。彼らは実は獣の耳と同時に普通の人間としての耳も持っているんだ。つまり耳が四つあるってことだね。


 一目見て分かるのは耳だけだけど、他の感覚器官も実は人種とは違った構造をしており、魔力とは関係なく様々な機関が人種より優秀なんだ。


 だけど、その機能を処理するため人種に比べて脳の処理機能が占有されてしまっているのだ。さらには無意識とは言え自分の身体に適切な身体強化魔術をかけ続けているため、その分の処理にも脳が割かれている。


 だから、獣人種は人種より物理的に思考に割ける部分が少ないため、考えることが苦手になってしまったのだ。一応引き継いでいる動物によっては狡賢い知恵を働かせることも出来る者もいるけど、それも複雑な思考が出来るという訳じゃない。


 具体的に言えば、彼らは国という物を作ることに向いていないのだ。国というのはとても複雑な制度によって作られ、運営されているのんだ。そして獣人種にそれは不可能と言っていい。


 歴史上、いくつかの部族をまとめ上げる傑物が出て来たことはあっても国と呼べる規模の物が出来たことは無いんだ。


 じゃあ、特定の国を持たない獣人族は普段どうしているのか。先にいっておくと今から説明するのはあくまでも世間一般の獣人種のことだよ。多くの例外が存在するため、あまり真に受けないでね。


 彼らは30人程度の部族に分かれ遊牧民族のように常に住処を変えながら世界中を旅しているんだ。とは言っても、その目的は遊牧民族とは全く違うけどね。


 彼らが旅をするのは、端的に言えばじっとしてることが出来ないからだ。獣人種はその種族特性上、本能的に動きたがってしまうんだ。


 地球において人というのは本能的に安定を求め、定住という選択をした、というけど獣人種は、その逆。彼らは野生の中で暮らすことを望んだんだ。


 とは言っても、一口に獣人種と言っても色んな人がいる。人種の社会に普通に適応する者も多いし、部族を捨て、冒険者として生きている者だっている。


 もしかしたら生き方に関しては獣人種は人種より「多様性」があるかもね。


 また、獣人種の生き方として意外と多いのが、誰かに仕えるという者なんだ。


 彼らは年上を敬い、力を敬い、知恵を敬う。そして、何の動物の特徴を引き継いでいるかによるけど基本的に恩は返す、義理堅い性格をしていることが多いんだ。


 それに獣人種は自分達がバカということを自覚しているからね。賢い者が考え、自分が力を振るう。これがいいことだと知っているんだ。


 おや。長々と話してしまったね。獣人種のことは大体分かってくれたかな?まぁ、何度も言うようだけれど例外はいくらでもある。そこだけは気をつけてね。


では皆さんが真理に至ることを願っているよ。さようなら。




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