silence
掲載日:2019/12/16
静かな部屋に、音だけでも清らかに響かせてよ。
祈る想いを無くしても、震える心が伝わるから。
静かすぎる夜に、息づかいだけでも寄り添わせてよ。
戒める指使いを無くしても、悪気のない沈黙を許せるから。
凍みるような寂しさは、掌で覆えば人の温もりで溶けていく。
滲むような冷たさは、夜露に濡れた手を繋げば消えていく。
今夜は、白々しい言葉は改札口に置いてきた。
星空のもと、混雑する蒸気機関車のよう。
行き交う白い吐息が、錯乱気味のイルミネーションに惑わされて終着駅を見失っている。
飢えた幸せを否定できないまま、気の抜けた汽笛が洩れる。
雲にはなれない溜め息たち。
透き通るような夜空には、生まれながらの奇跡だけが輝きを許される。
せめて静かな寝床を暖めて、使い道を絶たれた燃やした血潮。
焚き火は憑かれた顔とともに、悲喜交々照らして燃やし去る。
その手は掴めない贈り物、待ちわびて。
静かすぎる眠りで、清い夜を守っている。




