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FIRE・SOUL  作者: 島田 恭丞
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プロローグ

「おぬし勇者ゆうしゃにでもならんか?」

......は?




今、川城かわしろ 夏希なつき(男)はナンパされているようだ。この目の前にいる老人に。黒の破れかぶれの布を被った老人は80さいくらいか?米寿べいじゅを迎えてても可笑しくないくらいだろうか。

いや、いやいやいや、この状態でそんな呑気のんきな事を考えてる暇などない。もう一度言う。俺は今、ナンパされているのだ。老人に!


っていうか、学校。今...7時55分。登校時間とうこうじかんは8時30分までだ。今年からやっと楽しい高校生活こうこうせいかつが始まったのに早速遅刻さっそくちこく?!有り得ない。


よし、行こう。


バシュンッ!!!!


「お主、聞いとったか?...勇者にならんかと聞いとるんじゃ」


今の「バシュン」は間違いなくこの老人が放った...光線こうせんだ。斜め下に繰り出された光は俺の足と足の間のコンクリートに少々穴をつくりそこから煙が出ている。


「勇者?」

無意識に聞き返していた。ナンパやら光線やらでパニクってるからだろうか?


「そうじゃ、勇者じゃ」

平然と返してくる...てか何もんだよ、この人。

勇者というのは漫画とかでよくある剣と盾を持った超人ちょうじんの事だろうか。


「勇者ってなんですか」

魔法使まほうつかいじゃよ」

...は?????????????


もっと?つけてもいいくらいだな。魔法使い?なんじゃそりゃ。俺はそんな厨二病じゃねぇんだ、そんなくだらないこt...あれ、そういえばさっきこの人、使ったな。魔法。(わかんないけど)アレを魔法以外にどう表せばいい?スペシ○ム光線とかか?...なわけっ。


「混乱しとるな?」

「...」


「...はい、魔法使いって僕、魔法使えないんですけど。高校生ですし」

「使えるぞ?」

...は??????????????????????????

今度こそ、は?だ。俺が?魔法を?使えるだって?


使えるんだったら最初から使ってるわ。...ツッコミを入れたいとこだが辞めとこう。


「つ、使えると申しますと?」


「手を振ってみ」


...。んー、これで出来たらどうしよう...。


ブウォンッ!




.........。なんにも出ない。なんか悲しいな。 まぁ当たり前なんだけどさ。なんかこう...

「それじゃあ出るわけなかろう。手はおにぎりを持つ時みたいに少し丸めて、心で意識するんじゃ。感情の違いで変わってくるものじゃ。ほれ、やってみぃ」


心? いわゆる「心意しんい」みたいなやつか。って言っても簡単に想像出来ねぇな、どんな魔法かも知らねぇのに。この老人は知ってんのかな。


ブウォンッッッ!!!!

ボフゥ...!!!


目の前が青い光で覆われる。勢いよく俺の手から吹き上がったのは青色に輝く炎だった。


!?


これが...魔法...。

「つ、使えちゃった...」

「んな?使えると言ったろう?」


「これはな、『聖炎せいえん』じゃ」

「セイエン?」

「聖なる炎と書いて『聖炎』じゃ」

「聖なる...炎...」


マジかよ...まさか俺が...魔法使い?! あ、有り得ん...我ながらまだ状況が理解出来ん。

勇者って今から異世界転生で世界守るとかそういう系か?んー...わからん。




「お主はまだ魔力を解放かいほう出来ておらん」

「解放?」


魔力の解放とは...?


「個人と魔法が溶け合って完全に一体化し、その『聖炎』の内なる力を使えるようになる事じゃよ」

魔法と溶け合う。解放術かいほうじゅつとかかな。なんか格好良いな...。


「勇者になったら何をすればいいんですか?」

「知らん」

「は?」


思わず声に出てしまった。 どういう事だ?知らない?誘っといてやる事が分からないだって?ふざけてる。

「あのな」

いきなり喋るからびっくりしちゃったじゃないか。


「勇者というのはこの世界を守ることじゃ」

「そして......人類を守る...」

真剣な表情で老人は言う。そして続ける。


「命を賭けてな」


命という言葉に何か重みを感じた。ちょっと拍子抜けだったな。...これかなりガチなやつだ。


無意識のうちにこう応えていた。

「わかりました」

自分でも少しビックリしたが、自然と納得出来た。凄く怖かった。でも、名前も知らないこの老人のオーラはその壮大さを物語っていた。だからだと思う。


これからきっと、凄いことが起こるんだろうな。でもやってやるぞー勇者!盛り上がってきたな、なんか!


「そうじゃ。今から学校があるじゃろ?」

あ...。忘れてた!!今は...8時26分!?4分しかない!

早く行かないと!


「おい!」

「??」

「学校が終わったら朝野公園あさのこうえんに来い」

朝野公園は俺が通ってる朝野高校あさのこうこうの近くだ。


「わ、わかりました」

っていうか急がないと。

...あ、大切な事聞くの忘れてた。


「おじさん名前なんですか?」

老人は2秒ほど考えて言う。


「ウォーレン...ウォーレン・ボイロッドじゃ!!!!」

老人にしては大きすぎる声で名乗った。




ふと腕を見ると青い炎は幻だったかのように消えていた。

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