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姫様の守護者は見習い勇者  作者: ゴーヤウリウリ
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雨霰の様に魔獣の攻撃が続いたが、それらを次々と避け続ける男にはかすり傷一つもなかった。

「そんな攻撃は無駄だ、無駄だ」と呆れていたが、避けた魔獣の指がビルの壁にグサッと突き刺さり、壁に少しヒビが入ってしまうと表情を一変した。

「おいおい、壁を壊すのは止めてくれ。こちらの世界の物には俺の復元魔法がなぜか効かないんだよな。それで、後の修理が大変なんだ。本当に嫌になるぜ」


「ふざけるな、この魔法使い。復元魔法が効かないだと。お前は落ち毀れだな。

それに自分の命とどちらが大切なんだ。あの世でもっと魔法を勉強しな」と更に長い足や尻尾でも次々と攻撃をしてきたが、男はいとも簡単ことごとく避け続けた。


しかし、男は魔獣の攻撃が当っていないのも関わらず、疲れ果ててゲソッとした顔でお腹を摩りながら

「昼も仕事で、夜もこう動くと腹が空く。悪いがお前との戦いはここまでだ。

もう、腹が空いて空いて我慢ができない。死にそうだ。

頼むから、とっとと倒れて遅い晩飯でも食べさせてくれ」と短めの呪文で両手に念を込めて、今度はこっちの番だとばかりに魔獣に飛び掛り反撃を始めるとその素早い攻撃はことごとく魔獣にヒットした。


ただ残念な事に念を入った素手での攻撃だけでは顔や腹に決まるも皮膚が厚いのか、攻撃に威力が無いのか全く効かず、魔獣は笑いながら男を挑発した。

「そんな攻撃で魔獣の俺様をとっとと倒すだと。そんな攻撃は無駄だ。

やい落ち毀れ、やっぱり、こちらの世界では魔法は上手く使えないようだな。

それともさっきの鬼ごっこでよほどお腹が空いているのかな、攻撃に全然力が入っていないぞ。可哀想に人間とは非力なものだな」


「ありゃ全然効いていないか。こりゃ参った、皮膚が厚すぎるのか、全く体力の無駄な消費だったか。あぁ、勿体無い、晩飯一食分損したな。これ以上念を込めて攻撃しても体力を消費するだけだな。

おいお前、皮下脂肪のつき過ぎだ。少しは痩せろ。そのままだと体に悪いぞ」

「お前はバカが付くほどのお人好しか、人の心配するより自分の心配をしろ、この落ち毀れ魔法使いめ」


「次から魔獣相手には効果的な武器でも事務長から借りるかな。

でも、あの強欲な事務長は、はい無料でご自由に使ってね、なんて貸してくれる人でもなさそうだし、もし有料だと更に借金が増えそうだし・・。

仕方ない、先ずは自前でどうにかしますか」とポンと後ろに下がり魔獣から少し距離を置くと腕組をして何やら考え始めた。


「今度はどうしたんだ。お前の攻撃はもう終わりか。何を考えても無駄だ。

魔法使いが爆裂魔法も使わずにそんな攻撃で俺様を倒せるとでも。

それとも勇者様のように強力な聖剣でも持っているのかな。

でも、あちらの世界でもお前の様なひ弱な勇者様は見たことが無いぞ。

もし、いたとしても直ぐに俺様に食べられてしまうだろうがな。ウーハッハー」と魔獣は男を小バカにし、この勝負に自分が勝ったつもりで笑いながら更に素早く次々と攻撃を仕掛けてきた。



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