表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫様の守護者は見習い勇者  作者: ゴーヤウリウリ
3/29

1-2-1

1-2-1

今夜は月夜の筈だったが少し雲がかかっている。

まだ路地は人々がガヤガヤと家路についている時間だが、立ち並んだ雑居ビルの屋上は他のビルの影になり光が届かず暗く静かな時間だ。

どこから来たのだろうか、その暗い雑居ビルの屋上を音も無く次から次へと飛び渡って行く大小二つの影があった。


「まだ追って来るのか、やっとこちらの世界に着いたと思えば、厄介な事だな。

それにしても俺の速さにここまで付いて来られるとは、こちらの世界にもこんな奴がいたとは驚きだ」と大きい影の方が移動速度をまた上げたが、まだ後ろには小さい影が追って来ている。


「折角高い金を払ってまでしてこちらの世界に逃げて来たのに何て言う事だ。

このままでは逃げ切れない。人目のない街外れでも向い打とうか、体格からして力勝負なら俺に勝機がある筈だ」と先に大きな影が既に明かりの消えている人気の無い広いビルの屋上でその動きを止めた。


雲の切れから月の光が射すと、その大きな影の正体はこちらの世界ではいない筈のドラゴン系の魔獣だった。その少し息を切らしていた魔獣が2度、3度翼をばたつかせると、今度は翼を畳んで息を凝らした。

「こちらの世界では派手な動きはするなと注意されているが、向こうがその気なら」と身構えると全身に力を溜め始め、体から邪気を発しながら後から追ってくる小さな影を待ち構えた。


魔獣を追っていたもう一つの小さな影もビルの屋上でその動きを止めると魔獣を挑発し始めた。

「やっと、鬼ごっこは終わりのようだな。いーや、助かったよ、寝起きはきついし追っかけるのもお腹が空くんでね。

あんた、さっさと俺にやられちゃいなよ。そうすれば往きと違ってタダで元の世界に帰れるぜ」

そして両者が対面すると、その小さな影はあのローン事務所に寝ていた男だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ