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姫様の守護者は見習い勇者  作者: ゴーヤウリウリ
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部屋に戻って試験勉強に集中していたら夕方を過ぎていた。決して寝ていた訳ではない。

部屋のドアが開いたので姫が帰ってきたようだ。

「お疲れさん。仕事はどうだった、大丈夫だったかい」と尋ねると

「勿論、大丈夫。それに、皆良い人で明るいし楽しい。私、お腹が空いたので夕飯を作るね」と台所でバタバタし始めた。彼女の手作りの飯を食べるのも久しぶりだな。これが結構美味いんだなと喜びながら

「それで、こちらに長く居て大丈夫なの? 学校とかあるんじゃない」と心配すると

「大丈夫よ、お父様が学長だから。それよりティアラを見つけ出す方が大事なのよ」と答えた。


「でも、俺一人じゃ広い都内を探し出すのは無理だよ。それに手がかりが無いし」

「そうね、事務長さんにも相談したけど、私が覚醒した時にでも探すしかないみたいね。あれには私の臭いが付いているから都内になら簡単に見つかるわよ」

「おいおい、覚醒した時って。そちらの方が大丈夫なのかよ?」

「まだ人格が残っている時にでも急いで探して、後は勇ちゃんが私を確り見守ってくれていればどうにかなるかな。そう、勇ちゃん次第かな」


「まるで博打だな。それだと満月は絶対避けないと、俺が大丈夫じゃなさそうだな」

「仕方ないわよ、勇ちゃんは私の守護者なんだから」

「おいおい、守護者の意味が違っていないか、俺は姫を敵から守る・・」

「あら、そうだったかしら、そんな事よりお腹が空いたわよ。できたので早く夕飯を食べましょう」と彼女が作った夕飯を仲良く食べた。


夕飯を食べ終わり、少し雑談すると

「さぁ、勉強の用意をして地下室に行くわよ」と彼女はさっさと後片付けを済ませると俺を急がせた。

「勉強って、わざわざ地下室に行かなくてもこの部屋で俺一人でもできるよ」

「バカね、私を誰が監視するのよ。昨日も夜に出歩いたみたいだし。たまたま月夜じゃなくて助かったけど。それに勇ちゃん私より頭悪そうだし、数学や科学、物理なら全世界共通だから私でも教えられるわよ。それともバンパイア王国の歴史でも一緒に勉強しますか。私はそちらの方が好きだけどね」と偉そうにのたまった。


「バンパイア王国の歴史って俺には一生いらない教科だぞ」と完全否定すると

「なに言っているのよ、守護者は最低でも一回は勉強しておかないと後が大変なんだよ」

「後が大変って、どうして?」と不思議がると

「それは、後々分ってくわよ。グズグズ言わないで朝方まで勉強しますよ」と彼女に急がせられて地下室へと行った。


地下室に入ると、俺の部屋と同じように綺麗に掃除がしてあった。そして、俺の苦手な数学から教えてもらう事にした。

「勇ちゃんは、2年生だから、こんなもんかな」と俺の教科書をさらさら読むと

「じゃ、どこが試験範囲なの」

「ここから、ここまで」と数学の教科書を示すと

「それくらいなら、復習するのに2,3時間も有れば充分ね。じゃ、分らないとことかあるの」と訊いてきたので

「ここから、ここまで」と答えると

「はぁ、それ全部じゃん」と呆れていた。


「ごめん、全部です」と素直の謝ると

「全部って。ちゃんと授業は聞いているの」と少し怒った。

「ちゃんと聞いているけど、既に1年の1学期からまるで外国語を聞いている状態で、今は睡眠学習状態です。だって数学の先生は魔法使いで俺に睡眠魔法をかけて来るんだぞ。それが辛くて辛くて、毎日戦っているんだ」と訳も分らず意味不明な事で反論すると

「じゃ、私が爆裂魔法でもかけましょうか。そうすれば一生睡眠状態だけど。それでいい」と俺の頭を2,3発叩き、顔を引きつらせて本気で脅されたので

「すみません、真面目にします」と素直に反省した。


「じゃ、まったく数学はできないのね」

「はい、数学はできません」と正直に話すと

「もう、じゃ、1年生の教科書の最初の頁からやりましょうかね」

「えっ、最初からって。この1年と半年、いままでの俺の苦労は何だったんですか」と反論したものの

「勇ちゃんは、苦労なんてしていません。冬眠していただけです。その分は今日から徹夜です。どうせ学校に行っても寝るんでしょうから。この部屋で鍛えます」と鬼の様な家庭教師が始まった。


数時間後、俺の叫び声は誰にも届かなかった。なぜならこの部屋は監禁部屋だから。おいおい、俺が監禁されてどうするんだ。


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