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地下の部屋に戻ると、そんな夢のような時間は終わった。
「でぇ、昨夜のティアラはどうしたの?」と早速姫に詰め寄ると
「もう、直ぐにその話。事務長さんにも言ったけど、全然覚えてないのよ。どこかで失くしたみたい。勇ちゃん早く見つけてよ。あれ大事物なのよ」と行き成り俺に探せと言い出した。
「えっ、ちょっと待てよ、俺が探すのかよ。それに、大事な物なら失くすなよ。お前はいつもそうだな大切な事は直ぐ忘れるし・・」
「あぁ、もう煩い。失くした物は失くしたの。ちゃんと事務長さんにも話したし」
「まぁ、既に事務長にも話したなら、今日はそこまでだな。でぇ、どうしてこっちに来たんだよ。これで最後ねって、分かれた筈じゃないのかよ?」
「私がわざわざ勇ちゃんに会いに来たとでも思っているの。偶然よ、偶然。
勇ちゃんよりティアラの方が大切なのよ。それを追って来たのよ」
「そうか。まぁ、そう言うだろうとは思ったけどね。すまないけど今日は朝が早くて俺は疲れてるんだ。それに明日も学校だし、じゃ俺は自分の部屋で寝るから。
今夜はこの部屋から出るなよ。朝また来てやからな」と部屋に戻ろうとした。
「じゃ俺は寝るって。えーっ、私はさっき起きたばかりなのよ。
それに、学校ってなんなのよ、私と学校とどちらが大切なのよ?」と駄々をこね始めた。
「悪いが学校」と言い切って、さっさと思いドアを締めて自分の部屋に戻った。
「このいけず、まだまだ話したい事がいっぱいあるのにぃー」と大声で悔しがったが、その声は防音された部屋に響いただけだった。
今日は仕事を全然していなかったので本当は疲れていなかったが、狭い部屋に二人でいると少し気拙かったのでああ言って戻ってきたけど。少し暇なので、テレビでも観るかとリモコンを押したがテレビの声がしていない
「あっ、テレビが無い」と気付いた。
そうだ生活に必要なものは地下に持って行ったのだった。
この部屋だとワンセグの電波は受信しないしな。
あぁー、地下にテレビを観に行くのも面倒だな。それに姫に何って言われるか。
ちょっと待てよ、姫の部屋にはリモコンがない。テレビの付け方を知っているのか。明日嫌味を言われそうあだな。
でも、まぁいいか。中間試験も近いしテレビが無い方が俺も勉強に集中できる。
それにこの部屋にテレビがあると夜に遊びに来られると困るし、明日から地下で姫にテレビでも観て時間を潰してもらおう。
よし、そうと決まった明日にでもリモコンを持って行ってやるか。




