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姫様の守護者は見習い勇者  作者: ゴーヤウリウリ
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1-7-2

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急いで事務所に戻るとドアの外でワイワイと賑やかな声が聞こえた。

「珍しく、知り合いのお客さんかな」と事務所の中に入ると

いつもなら仕事でシーンと静まり返っているのに、ソファーで皆がお茶をしていた。

「客もいなのにコーヒーとお菓子を食べているなんて」そんな光景をこの事務所では見たことがなったので呆気に取られている俺に姫が気付くと

「勇ちゃん、お帰り」と数ヶ月ぶりに再会したようには思えないほど気軽に声をかけた。


「ハッ、ハッ、ただいま」と息を切らしながら訳も分らずに素直に答えると、数ヶ月会っていなかった事が嘘の様だった。

「お前が出て行ってから、直ぐに目が覚めてな、まぁ、その時は大変だったが、色々話しているうちにこうなった訳さ。それで、準備はできたのか?」

「はい」

「そうか地下部屋の事も簡単に説明した。もう用事は済んだからお前らとっとと帰れ」と事務長が今息を切らして戻ってきたばかりの俺にお茶も飲ませずに直ぐに帰れとは。


しかし、強面の事務長には逆らえないので

「はい、では今夜はこれで、色々と有難う御座いました。お疲れ様でした」と二人が事務所を出ようとすると

「学校はもう始まっていたな。それじゃ、いつでもいいから明日また彼女と一緒に来い。それに今夜運よく曇っているな。それじゃ仲良く晩飯でも食って帰れ」と万札を一枚を俺にくれた。


二人がまだ人通りの多い駅前の事務所を仲良く出ると

「事務長もお優しいですね。二人の時間を作ってあげたんですか」と事務員がテーブルの上を片付けだすと

「何の事だ。俺にはこれから仕事があるので、あいつ等が邪魔なだけさ」と自分の席に戻ると、渋い顔をして電卓を叩き出した。


「相変わらず嘘を付くのが下手ですね。では今夜はそう言う事にしましょうか」と事務員も仕事を始めだしたが、突然何かを思い出して

「そう言えば彼女、見習君を勇ちゃんって呼んでいなかったかしら。もしかして彼の名前って勇何がしかしら」と何かを発見したかのように尋ねると

「そんなことは無いよ。勇者の勇ちゃん。それだけの事だ」

「じゃ、事務長も今度から勇ちゃんって呼んで言いですか」と尋ねると事務長は電卓を打ち間違えてしまった


二人でこうして歩くのは数ヶ月ぶりだったが特に話すこと無かった。でも、しっかりと手だけは繋いでいた。

何を食べようかと声をかけてみたが、無口なままだった。たぶん話したいことは沢山ある筈だろうが、こうしている方が俺も楽だったのでそのまま歩いた。

人通りが多い方が目立たないだろうといつもの駅前の定食屋に入った。


彼女はメニューを見てもどんな料理が分らないのか結局は俺と同じ定食を選んだが、さすがに朝から何も食べていなかったのだろう、ご飯をお代わりし俺よりも多く食べた。

部屋に戻るまでに、必要な日常品等を買いに駅前の商店街を歩くと、二人が出会ったあの夜みたいだと喜んでいた。



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