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マンションから出ると何者かが後を付けている気配がした。
気のせいかもしれないと試しに遠回りしてみてもやはり誰かが追って来ている。
「部屋からずっと付けて来ているのか。こいつは何者だ。
このまま寝ている姫を抱えてここで戦っては不利だ。一先ず巻こうか」
俺は急に方向を変えて雑居ビルの陰に隠れて静に通り過ぎるのを待った。
すると、その男は途中で俺達を見失ったと思いキョロキョロ辺りを見回すとどこかへ行ってしまった。
これで安心と移動を再び始めようとビルの陰から顔を出ると、ビューンと光る何かが飛んできた。
俺はそれを咄嗟に避けるとその光る物体はビルの壁に刺さった。
「誰だ」と直ぐに振り返ると別の黒い服を着た男が俺達を狙っていた。
「くそっ、前の男は囮かぁ。それであっさりと行った訳か」
「甘いな、お前達を付けていたのが1人だとは限らないぜ。
とっとと昨夜のブツを返してもらおうか、そうすれば命だけは助けてやる」
と脅すとその男はまた何かを投げる構えをした。
俺に気付かれずにビルの屋上を追って来るとは、普通の人間じゃないな。
間違いなく異能力者だ。もしかするとあちらの世界から来たのか。
それにあの光る物は厄介だな、姫に刺さってケガでもしたら大変だ。
「危ないじゃないか。何だそのブッて言うのは?
今から2人で楽しく昼飯でも食いに行こうとしているのに邪魔しやがって」
「お前はどうでもいいんだよ。用事があるのはその女の方だ」と姫を指さした。
「人を引き止めてどうでもいいとは、礼儀を知らない奴だな。
それに悪いが姫はお昼寝中だ。今起すと後が大変なんだよ。
悪いが用件は俺が聞く。今は両手が塞がっているので少し待っていろ」
姫を静に傍らに置くと腕を2度3度グルグル回すと男に対峙して身構えた。
「邪魔をするなら、仕方がない。先ずはお前の方からだ」
問答無用でまた光る物を次々と投げてきたが1つ手で受けてよく見ると魔法ではないようだ。念を物質化したもだろうか。
「バカな、手で受け止めるだと」
「何だ、魔法使いじゃないのか、それなら良かった」
「魔法使い? そんな者がこの世にいるものか」
また光る物を次々と投げてきたが俺1人だとこんな物は意図も簡単に素早く交わす事ができる。そして、さっと男に近寄り念を込めた拳で2、3発顔や腹を殴ると屋上に倒れて動かなくなった。
意外とあっさり倒したので気が抜けたが、他にもいないかと今度は確りと見回すと人の気配はなかった。
「こいつ用事があるのは確かに女の方だとか言っていたな。
と言う事はこいつらは昨夜から姫を付けていたのか。
もしかするとこいつに訊けば昨夜の姫の行動が分るかも。
おい、起きろよ、おい・・。しまった、強く殴りすぎた」
男をどう揺り動かしても意識が戻らなかった。
これ以上は無理だし、俺は急いでいたので男のポケットからスマホを抜き取ると、そのままにして、また寝ている姫を抱えてニコニコローンの事務所に向かった。




